« 熱血硬派くにおくんの大運動会 | Main | マーブルVSカプコン »

[ PCゲーム ]

9点
痕、という一文字で「きずあと」と読む。
怪奇ビジュアルノベルのような構成だが、ずんずんと人を吸い寄せるようなシナリオはとても洗練されている。


ストーリーは主人公である「柏木耕一」の親がなくなり、きままな大学生生活が突如終わりを告げたところから始まる。
今までとは違った、四人の親戚の姉妹に囲まれた生活。
今まで数度顔あわせをした程度の親戚の姉妹たちは、随分と大人に近くなっていた。

頼れる女社長であり、どこか天然混じりで殺人料理を作る一家の大黒柱的存在、柏木千鶴。
柏木家の次女であり、短気なところもあるが一家の家事を一手に賄う高校生、柏木梓。
突如舞い戻った耕一にあまりいい顔をせず、常時昏い雰囲気を漂わす三女、柏木楓。
とても高校一年には見えないコケテッシュな身体の持ち主、しかし柏木家の両親でもある末っ子の柏木初音(はつね)。

新天地、けれど独りよりもずっと暖かい、叔父の娘たちとの生活。
望んだわけではないけれど、そんな生活に憧れてはいた。

しかし、物語はそこからが架橋である。
突如その存在が露わになった「鬼」。
架空の化け物でしかないはずの畏怖の対象が、現実に夜の街を寝食していた。
耕一が毎夜見る悪夢。
血生臭い、「今まで必死で逃げていたナニカ」。
それを嬉々として喰らう自分。とても禍々しく、哂っている。

怖れたのは一連の事件。
その犯人が、眠っている時のいわば「もう一人の自分なのではないか?」
そんな疑問の最中、刑事と名乗る男達までやってくる。
柏木家の日常は、最早すっかり形を潜めてしまった。


と、大まかな形にするとこんな感じだろう。
ストーリーにあわせたBGMもさることながら、グラフィックの完成度も手馴れたものを窺がわせる。
暴力的、というよりも人によっては苦手な描写も出てくるかもしれないが、安心してオススメできる作である。

reviewed by アッド


0 Comments: / 0 TrackBack
Comments
Post a comment












Remember personal info?