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BAROQUE

[ PS ]

10点
  当初サターンから発売されPSに移植されたゲームで、ダンジョン探索型で3D視点のアクションRPG。加えてリアルタイムシステムが採用されている。
世界設定は2032年で、「大熱波」という天変地異が起き、世界も全ての人間も歪んでしまい、人々は妄想を抱えながら生き延びている。「大熱波」を起こしたと噂される「マルクト教団」には偽装天使と呼ばれる人々がおり、その上役といえる「上級天使」に歪んだ「創造維持神」を浄化しこの世界を救えと命令され、「それがお前の罪だ」と言われる。記憶を失い、罪の意識だけが残る主人公は「創造維持神」のいる神経塔に向かう。
このゲームの魅力の中心はストーリーで、未完成なのだが演出が非常に上手い。想像力を喚起させるような話の展開も流石である。蛇足ではあるが、この手の演出(例:チラリズム)の失敗例が『エヴァンゲリオン』だと思える。ほったらかしにせず、説明過剰でもなく、その加減が実に上手い。
システムも主人公の設定と密接にかかわっており、面白い。またキャラクターも余りに個性的な者が多く、非常にサイコである。音楽もメロディと言うよりは効果音のようで、恐ろしく暗い世界観を反映している。なお、世界・キャラクター等のグラフィックは癖があるものの(全部癖があるのだが)、希望の殆ど無い世界に見事にマッチしている。アリス、イライザというつぼを押さえた女性キャラも評価できる。取り分けアリスのセリフには様々な妄想が膨らみ、真に迫るものがある。
これらの要素の基盤となっているのが最大の魅力とも言うべき「世界観」であり、予定調和的な世界設定に飽きた方には自身を持って薦められる。

reviewed by 高麗


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