星神
9点
タクティクスオウガを作ったクエスト社の一部の社員が新しい会社で作ったゲーム。製作のこだわりのため、完成予定から1年間の時間を越えて発売された。ジャンルは超本格SRPG。そのためかどうしてもタクティクスオウガと比べてしまう。プレーの率直な感想はタクティクスオウガが強力になって帰ってきたと感じた。
まずストーリーは主人公が己の運命に引き込まれていく、というごく一般なものであるが、その内容は良いとはいえないと思う。理想と現実の壁を強くプレイヤー側に感じさせるタクティクスと違い、主人公の特徴が一本で、悪vs正義というかんじが強すぎるからだ。余談だがこれがいいと思う人は危険思考の持ち主(アメリカ人・・・)だと思う。
星神の面白いところはなんといっても戦闘システムである。ラップシステムというものが非常におもしろい。ラップシステムとはキャラのターンが回ってきたらそのターンに何をするか完全にプレーヤーが選ぶことになる。タクティクスのように1ターンの中で移動と行動の二つしかないのではなく、行動が何回でも起こせるということだ。つまり攻撃を3回連続行ったりすることが可能ということだ。ただ次のキャラターンに回ってくる時間がその前のターンに何をやったか響いてくる。だから先に1度しか攻撃しないで、次のターンが回ったときに連続攻撃をしてとどめをさす、などと頭を回転させなければならない。敵のターンをチェックしつつ、味方のターンも考えないとうまく進めることができない。また属性によりキャラのステータスの上昇率やスキルの習得、また属性変更(精霊変更)も異なる。このシステムのため職業というのがなくても、いろいろとキャラの育て方をどうしたらいいか頭を悩ます。
コインという魔法みたいなものがあり、これを刻印というもので成長させたりすることができる。これもこのゲームの醍醐味である。刻印も最大二枚を使ってコインを鍛えることができ、もちろんに2枚同時にある特定の組み合わせでコインを非常に強くすることができる。次に装備として武器と防具とアクセサリーがあるのだが、それぞれには重さがあり、また属性によって得意武器なども存在する。重さは移動コストに影響し、武器にはそれぞれ攻撃時の消費コストも存在する。防具には直接防御力重視の鎧系と回避・魔法防御重視のローブ系がある。そういうわけで、武器や防具の装備にも気を使う。
最後にゲームバランスについて。単刀直入に言わせてもらうと悪い。正直SRPG初心者には絶対クリアは不可能か、仲間が死にすぎて悲惨な状態を迎えるだろう。なぜなら戦闘でこちらは最大7人しか出撃できないのだが、相手は常に15人ぐらいいる。敵は全員同時に攻撃はしてこないが、うっかり近すぎたり、瀕死の敵を残しておくと、何もしてなかった敵さんたちが一斉に動き出したりする。また常に敵はこちらはまだ手に入らない強い武器・防具を装備している。また全般的に同レベルのモンスターのHPはこちらの1.5倍以上ある。さらにどうしても敵はプレイヤー側に殺されることを前提としているように思えてしまう。これは当たり前のことだが、それがあまりにひどすぎるのではないだろうか。コインの攻撃と相性の悪い属性のキャラや回避率の高いキャラが突っ込んでくる。それで後方からは弓で援護射撃する。毎回このパターンだ。戦闘の中で特にボスが出てくる面はひどい。ボスがやたら強い。特に中盤以降それを感じる。まず大抵ボスとこちらにはレベル差があり、その点でも不利だが、鬼のようなステータスや装備品を持っている。ひどいときにはHPが6000以上のボスでこちらの通常攻撃が100も与えられないことがあった。
結論としては頭を使うのが得意で、時間に余裕のある人がやるゲームである。
reviewed by またたび