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第三回天下一武道会 四月十二日

[ 第三回天下一武道会 サイドA ]

第三回天下一武道会 四月十二日

76 :四月十二日 レビルの日記 :04/03/20 13:20 ID:???


我、歓喜す。原稿は全て終了也。まさに珠玉の出来にて我、一人自室にて清水の如く溢るる笑いを噛み殺すのに専念す。
危うく顎外れるんとするに、狼狽するも、事無きを得る。余りに面白き作品も考え物也。

晩、スレンダー不在より我、ふと思い立ちて赤飯を作る。イザークの評判良く、大いに気を良くす。気分転換也。
棟を後にした英霊に思いを手向けつつ、食す。美味なり。又少し酒を飲む。甘露也。一合程飲す。

自室に戻り、民明書房の続きを暫し読む。雷電という中国拳法の使い手、正に偉大也。我、彼の博識に驚嘆す。また其の最後に落涙す。
一刻の後、隣室より、銃音らしきもの此れ有り。我いぶかしみて、廊下に出るに偶然、管理人と接触す。
我、先程の破裂音の事を尋ねるに彼、怪訝に首を傾げ「否」と返す。
彼曰く「汝、夢みること莫れ。音など我は聞き及ばず」ト。「酒、人の感覚を狂わす事大なり。自愛せよ」
我、僅か一合余りにて、事の外、淀酔の大なるを知り、年齢による衰えを再認識す。将にこれ、老人の兆候なりと思す。
即ち謝して、室に戻る。年寄りの冷や水、まさに恥じるベシ。赤面の心地すること限り無し。早々に床に付くことにす。
明日の天気、明朗なれど波まだ高し。



77 :四月十二日 イザークの日記 :04/03/20 13:27 ID:???


満腹満腹。実に、晩飯が美味かった。スレンダーにはわるいけど、やはりレビルがつくったほうがうまかった。
お代わり三回もしちゃったしな。それに赤飯なんて食うのは初めてだったけど、かなりまいうーだった。お祝いに食うものらしいから、今度また食おう。
それにしても、今日は気分がいい。
原稿が脱稿するのがこんなに嬉しいことだとは思わなかったなー。いやぁ、長かった長かった・・まじでなんか一年以上かいてた気がする。
実際は一ヶ月と半くらいなんだけどな。うん。それだけ中身が濃いかったということだろ。
ロランやアムロやブライトやスレンダーや、カクリコンやランバラル・・色々いたけど、みんなもういなくなってしまったしなー。。

けど、これでようやく家に帰れる・・・・・・母上はお元気かな。全然連絡とれなかったからな・・・手紙は出してたけど帰ってこなかったし・・
心配だな。。けど、俺はマザコンじゃないぞ。たぶん。いや、きっと。むしろ。そして、メイビー。

それにしても今回の原稿は完璧だな。なんどみても惚れ惚れする出来だ。トップはいただきだなw
なにがもらえるのかわからんが、二位になるよりずっといいw ふふふ。もしかしたらすごく強いガンダムの機体とかか?
アスランとかを瞬殺できるやるだったらなんでもいいな。あ、けど、隊長が乗ってたのだけは勘弁だな。腰抜けだし。変態用だし。稲荷臭そうだし。
バスターもまじ勘弁だな。あれはあの黒人だけがのればいい。あ、ちょっとトイレいこ。


トイレから帰る途中、管理人に会った。なんか俺をみて、イチゴありがとう、なんていうもんだからビックリした。
今日の晩飯に入れてやらなかったのは悪いことしたな。明日は最後だし入れてやろうかな。けど、あいつ今ごろ感謝するなんて遅すぎ。
しかし、俺の日記なんかすごく適当だよなー。普段はクールな俺がこんな適当な日記つけてるなんてゼッタイ知られる訳にはいかないな。
イメージダウンしてしまう。俺って実は幼稚なのか?我侭なのかも?だからあそこも子供サイズなのか?うわ、めっちゃへこむ。それ。
やめだやめだ。こんな考えするのは。俺はまだ成長期!それに尽きる!

さ!今日は明日の最終号に備えて早く寝るか。あー、早く明日になんねーかな。楽しみだ。帰省もできるし。
あ、そういえば福田どうしよ。猫飼うの許してくれるかなあ、母上。




78 :四月十二日 ”管理”人の日記 :04/03/20 13:41 ID:???
とりあえず待っていてくれている内に克明に記す。
時間がないので乱文乱筆になるのはやむをえない。

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意識が戻ったのはいつだっただろうか。確か、最終号の原稿を回収してしまう所までは覚えている。
あれはたしか・・・五時を少し回ったところだった。目を覚ましたときはもう六時を回っているのだから、ざっと一時間ばかり気を失っていたのだ。

赤棟の少年は、私の正面に座り、卓袱台の上に置いているパソコンをなにやらいじっていた。会長にメールでも送っているのかもしれない。
いい気なものだと思った。私はやや呆れていた。だが、敢えて口にはださない。こうして日記にだけ書いておく。暗い男といわば言え。
大体日記をつけている時点で、オトコらしいオトコなどにはなれないのだ。
原稿をまとめるのには少し時間がかかった。あとがきをかくのが大変だったからだ。

かきあがったのは少し前、午後九時ごろだ。


「終わりましたか?」眼鏡野朗はこちらが原稿を封筒にしまったのをみて、にこやかな笑顔で問い掛けてきた。
私は黙って頷き封筒を渡した。別に怒ってるわけじゃない。喉がひりつくように乾いているので、声をだすのが億劫だったのだ。
彼は封筒をうけとると中身をちらりと黙読してから、それに丁寧に封をした。
「確かに受け取りました。それじゃあ会長には僕のほうから渡しておきますね。あ、そうだ。コーヒーのみます?」
そういって取り出した缶ははっきりいって生ぬるかったが、喉がカラカラで仕方なかったので全部飲み干した。

「ありがとう」
「いえ。礼を言われるほどじゃあないです。これくらい」
彼は眼鏡の奥の目を細めて、照れくさそうに笑うと、自分もコーヒーを飲んだ。
彼の白い喉が上下に動いているのを観察し、茶色の液体が嚥下されている様子を想像した。そして、少しだけ気分が悪くなった。
その定期的な上下運動はどこか、私に、アムロの死に際の苦しげな呼吸の際の、細い喉の動きを思い出させたからだ。
どうして彼がアムロを殺すところを私は止めることができなかったのだろうか。彼はまるでコーヒーを飲むように、本当に、簡単にアムロを。
「どうかしましたか?」
缶から口を離して、彼が怪訝そうに聞く。私は首を振る。聡い彼は、こちらが何を考えたかくらいは全て見とおしているのだろう。
だから、私はこの眼鏡野朗が嫌いだ。


「夕方ですけど、玄関でイザークに会いましたよ。のんきに猫を抱えて昼寝してましたけれど。いいですね、こちらは平和そうで」
と、彼が言ったので
「管理人が優秀だからな」と顎を少し引いて応えた。無論、内心では馬鹿にしている。冗談じゃない。なにが平和なものか。
これが平和だとすると、それは偽りの平和だ。もしくは、ただ平和じゃないことを認めたくない連中の集まりだ。気がつきたくないのだ。この矛盾に。
「はは。きっとそうですね。本当に」
まさにそのとうり、といわんばかりに彼は手を叩いて上体を曲げて実に愉快そうに笑った。その態度にますます不愉快になった。
一旦会話を打ちきろうと考え、私は手洗いにいくといって部屋をでた。


79 :四月十二日 ”管理”人の日記(2/3) :04/03/20 13:53 ID:???
戻ってくると彼の笑いはさすがに納まっていたので、気をとりなおして話を続けた。

「ところで、その、イザークとレビルのことだが・・」
「安心してください。彼らの内のどちらかは、二年前と同じくあのコースにいきますよ。もう片方は内緒です」
「どうせロランたちと同じようにするつもりだろう」
私の口ぶりに含まれた非難の色に気がついたのだろう。彼は肩をすくめて、
「会長次第ですよ。ただ僕の考えでいえばそうなりますね。ま、けれど、貴方と違い彼らは逆ですけど」と、彼はいった。
そう、逆なのだ。私と彼以外はまるで逆なのだ。私と彼だけが。いや、この解釈は違うな。彼は私とも違う。
いうなればイザークやレビルはスプートニクで、私はアポロだ。そして、彼はアポロを飛ばすNASAの研究員といったところか。
だとすると会長はなんだ?アメリカか?飛ばす土台を創り支えている国家なのか。
そして、どれが幸いだったのか、よくわからない。いや、そもそもこの馬鹿げた物語にはバッドエンディングしか存在しなかったのだろう。
あるとすればそれは、バッドエンディングの種類がAかBかそれともCかという程度のものだったに違いない。


「さてと」彼はコーヒー缶を横に軽く振り中身の無いことを確認すると、そっと床に置いた。「そろそろ、いいですか?」
「そうだな」
今日、彼がきたのには勿論、理由がある。理由がなければ彼は赤棟から動かないし、また動けない。
彼が懐から、どこか玩具のようにあっさりと拳銃を取り出した。グリップの穴がやけに広い。私は拳銃には詳しくないが、トカレフとかいうやつだろう。
ロシア製の拳銃であり、ゆえに手袋をしたまま撃てるように考慮されているので、人差し指を入れるところが大きいのだ。
あれ以外の拳銃はなかなか手に入り難い。あの銃ならしかるべきところなら2、30万もだせば買える筈だ。彼は弾を装填しながら、
「僕のこと、恨んでもかまいませんから」と、そういって笑った。ぞっとするほど明るい笑顔だ。彼はきっと壊れている。
そのことを気の毒に思う。・・・・ニコルを殺したときも、ランバラルを殺したときも彼はこんなふうに笑っていたのだろうか。
「・・・逃げないんですか?」と、彼は目を手もとの拳銃に落としたまま尋ねた。まるで、雨の日に傘を持っていかないんですかと聞くような口調で。
「面倒くさい。それに、無意味だ」と、私。「そうですね。---無意味ですね」
逃げようと思えばおそらく逃げられるだろう。窓から飛び降りればいい。ここは二階だ。死ぬことはない。それに木もある。
ただ、私は逃げたくなかった。この棟の管理人として、また編集者として、彼らに対してとらなければならない責任というものがある。
それに正直な所、もう疲れた。

「君のことは恨まないよ」
「じゃあ、会長を恨みますか?」
「いや」
「ほんとに?」
「ほんとだ。もう恨んでも仕方がない。私達にも原因はあるしな。ただ、最後に一つ、頼みがある」
「なんですか?」
「日記をつける時間をくれ。まだつけてないんだ」

彼は私の目をじっと見つめた。私もまた逸らさなかった。逸らすと負けだと思った。
彼の目は眼鏡越しでもよくわかるほど、大きく綺麗な色をしていた。こんな眼をしていて、どうしてこんなことをするのだろうか。知りたかった。
やがて、彼が視線をすっと脇にずらしてからにっこりと笑った。

「いいですよ・・20分あげましょう。だけど、これが限界ですよ。もうこんな時間です。明日の発行のために、早く入稿しにいかないといけませんから」

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80 :四月十二日 ”管理”人の日記(3/3) 完結 :04/03/20 14:00 ID:???

以上。簡単に記すとこういう流れである。
残された20分で、私はこの最後の日記を記すことができた。読み返してみると僅か一ヶ月半の日記だが、かなり読み応えがあるだろうと思う。
尤もながら、もう読むことはないし、こんな日記を私以外の誰かが読むとは思わない。・・一人を除いて。
私は彼のためにこの日記を書いたことになるのだろう。読んで、失笑してくれればそれでよし。決して同情はしないでほしい。


銃口というのは、ひんやりしているかと思ったが、押しつけられた所がやけに熱く感じる。まるで焼鏝を額に押しつけられているようだ。
さすがに汗が出る。唇が小刻みに震えているのがわかる。情けないと思ったが、怖くないといったら嘘になる。最後は自分に正直でいたい。
私は怖いのだ。死ぬことが。眼鏡野朗がさきほどから、しきりにこんなことをいう。


「怖がる必要はありませんよ。これはーーそうーーエクソダスなのですから」

殺人に慣れた人間は、いつも自己正当化することに長けている。そうしないと自分が破綻するからだ。なにがエクソダスだ。狂ってる。
彼がちらちら時計をみている。そろそろ、時間だ。僅かな間だったが、充実した日々だった。忙しくも、楽しい日々。
ここで、この日記は終わるが、最終号の評価を聞けないことだけが残念だ。あぁ、ダメだ。私は最後まで自分を偽ってしまう!阿保め!

                                                                         (四月十二日終了)

81 :通常の名無しさんの3倍 :04/03/20 14:32 ID:???
ま、まさか本当にゲイナーだったのか!?
俺が空気読まずにゲイナーをリクエストなんかしたばっかりに……
…あぁ……アムロ 管理人 他の人【追悼】

82 :通常の名無しさんの3倍 :04/03/20 15:37 ID:???
結局この路線かよ!面白いからいいけど。

83 :通常の名無しさんの3倍 :04/03/24 10:52 ID:???
油断しないで保守

84 :通常の名無しさんの3倍 :04/03/24 14:36 ID:???
キンゲ一周年記念でタイムリーだなぁ

85 :通常の名無しさんの3倍 :04/03/25 18:52 ID:???
シャア専用・クリックで救える命 3
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/x3/1070727803/
【UD】がん解析のため立てよガノタ!5【@shar】
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/x3/1075611831/

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