天下一武道大会 番外編ー没作品の残骸シリーズ (2)
[ 第三回天下一武道会 サイドA ]
- 10 :1 :2004/02/18(水) 03:15
- 未発表打ちきり作品
『 焼飯の錬金術師 』 イザーク・ジュール
第二話「禁忌のお稲荷」
連合のセントラル地区にあるお稲荷研究所。そこには、政府から命令をうけ研究している錬金術師がいた。
ニコルとアスランをつれたイザークはここを訪れた。連合錬金術師たる彼は、VIp待遇だ。すぐに彼の自室に通された。
イザーク「あんたか?稲荷の錬金術師ってのは?」
クルーゼ「そうだが。君は誰かな?」
イザーク「俺は連合錬金術師だ。焼飯の錬金術師っていえばわかるか?」
腰に下げている銀のフライパンをみせると、クルーゼはあぁ、なるほど、と呟いた。
クルーゼ「君があの最年少で連合錬金術師になったイザークくんか。なるほど。若い」
イザーク「早速で悪いんだが。あんたは、人をお稲荷に変える方法を知っているそうだな?」
クルーゼ「イかにも。私はなんせ、稲荷の錬金術の使いテだからね」
イザーク「となると、だ。稲荷から人に戻す錬金術も知っているんだよな?」
イザークはクルーゼに詰め寄る。クルーゼは仮面の中にある目を攻撃的にぎらつかせて
クルーゼ「そんなことしってどうするのかね?稲荷から人、人から稲荷に戻すこの錬金術は禁忌だよ」
イザーク「いいから教えろ。弟が、弟が、焼飯になってしまったんだ!」
ニコル 「お願いです。教えてください」
アスラン 「なんとかしてあげてほしい」
事情を全て訊いたクルーゼは、首を振ってアンビリーバブルといわんばかりにすると、ディアッカをみせるように言った。
弁当箱をあけるイザーク。覗き込むクルーゼ。相変わらず焼飯からは湯気がでている。
クルーゼ「ウホッ!いい焼飯!」
イザーク「って、食うなコラァ!」 どつくイザーク。
クルーゼ「冗談冗談。食わないから安心したまえ。ただいいこと思いついた。お前俺の中で錬」
イザーク「それ以上いったら殺す」
ニコル 「え?イザークそれはどういう意味ですか?」
アスラン 「ニコルは知らないほうがいい・・」
にやにやと笑うクルーゼにイザークは脱力して、床にふてくされて座りこんだ。
クルーゼ「ところで・・そんなことして弟の魂を錬成した割には、どこを代償にしたんだい?その右手・・手袋の下はもしかして機械なのか?」
イザーク「いや。等価交換したのはここだ」
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- といって、イザークは右手をだして手袋を外した。つるっとした人間の手だ。美白に気をつかっているので滑らかそのものだった。
クルーゼ「いい手だな。だが、どこが代償なんだ?」
イザーク「よくみろよ。右の小指だけ爪が短いだろ」
なるほど。よくみると確かにイザークの右手の爪は小指だけ中と半端な長さだった。
イザーク「ここを代償にディアッカの命を錬成したんだ」
クルーゼ「なるほど。弟くん・・ディアッカの魂の錬成を小指の爪で・・」
アスラン「へえ、そうだったのか」
ニコル 「小指の爪ですか・・」
其の日は結局の所、翌日、再び面会することを許可されただけだった。
その帰り道。前をあるくイザークにアスランが話し掛けた。
アスラン「なぁ、イザーク・・錬金術ってさ、基本は、その・・、と、等価交換だよな?」
イザーク「そうだ。それがどうかしたか?」
アスラン「い、いや・・別に・・・・・」
ニコル 「ディアッカ・・って・・」
イザーク「どうかしたか?お、おい!何泣いてんだよ!」
ニコル 「いえ。なんでもないです。なんでも・・」
イザークはアスランとニコルの二人が涙を流し始めた意味がわからなかった。ただわかるのは、等価交換は時に残酷だということだけだった。
完
次回予告
イザークは旅を続ける。ディアッカを戻す情報を求めて。
ある日、彼は中央の軍組織で、通常の3倍の速さで錬成陣をかく大佐と、錬成陣で隕石を押し出す大尉にであう。
そして、彼らの決闘の場面に彼は立ち会ってしまった。
第三話「 逆襲の錬成陣 」 乞うご期待