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第三回天下一武道会 四月七日

[ 第三回天下一武道会 サイドA ]

第三回天下一武道会 四月七日

310 名前:通常の名無しさんの3倍 :04/01/14 02:43 ID:???
   豪雨。



   赤棟の管理人に会いにいった。
   とても長い話をした。
   彼の内容は実に、衝撃的なものだった。ありえない。そんなこと。きっと嘘だ。

   
   ( 四月七日終了)



   追記  アンケートを集計したので、それを載せる。

311 名前:通常の名無しさんの3倍 :04/01/14 02:46 ID:???

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
             週刊少年ガンダムアンケート結果!

           \`丶、丶、 | /::,r―---!|    _ - '' /
          _,..>、 `丶、゙''ー' | , --、 ', - ''",. '´, '
        / ,r''''''ヾヽ、 `゙ー! ! ゝ--',: ヽ,. '´__/
        i!   ゞ、_シヽ'´丶、/ \ `´ /| , r'r ゙ヽ
       __lヾ  ゙''''" ,ノ   ヽ  ヽ/ ノ' ! !、シノ
     r''i"´ l|  /`゙''"       \   /  ヽ_,、ノ
     ! !__ノ! |'''''i''フ7''''''ヽ'''ヽ''ー`ァ---、-;、_i`゙ヽ
      ! r''''''''i| l  |:ヽ {:ー':::)::} /::::::(、ノ::i:} ヽ| |!_|  ドキドキ・・
    |  !__  !! ヽ、ヽ::ヽ、ー'ノ.:'",::、-、ヽー'ノ /:l_!`''i|
_    l  i`''ー-:!  r''''''''ヾ''ーi'''"´  ,i::| `゙''ー''"!ゝ-ヽノ!
:.:`''ー !  !_   !  ヽ___,! ,..!    ー''  |_ ,',' ̄i/`!!
:.:.:.:.:.:|__ヽ、_`丶、!   i  ! `゙! ヾ´二二`; /' /i'''''''/_ノ
:.:.:.:.:.:ト、:.丶、 ̄`丶、 ,!--,!_、_! ヽ,r=、//,ノ,','  /r―‐--、__
ヾ'''ヽ|ヽ、ヽ:.`丶、_,,>-'ヾ、ヽ`ニ、   lニ へ,'二,'ヽ、丶、   \:.:.ヽ
ヽヽ、_!:.:.:.\ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\ヽ,:'ヽ--'---、_、 丶、 `''-、`丶、 ヽ:
/フ/:.:.:.:.:.:.ヽヽ--- 、........ _\ヾ、`゙''!''!ー‐-゙、ーヽニi!:i:.:.:.:.:!⌒::
`ヽ/:.:.:.:.:.:.:.:/:.:r''"゙''ー―--- 、`:.ヾヽ`丶`''ー‐'ヽ:.:.:.丶!:!:.:.:.:.| 0::


    一瞬、え?武蔵ロード?と勘違いしそうな顔のキャプテンガンダムも素顔で見守る今回の結果は以下のとうり。




一位  『 民明書房傑作選 ー夢路いとし、こいし先生を偲んでー』     25ポイント  
二位  『         ザフト史上最大の一日 -前編       』     24ポイント 
三位  『          ギュネイ・ガスとクェス・エア         』     15ポイント   
四位  『        残るセールスマン ~めぐりあい温水器   』      6ポイント   

×   『          ブライトノア・クロノクル(上)          』    ー4ポイント


今回のコメント
祝レビル閣下。今号、はじめて彼は一位の座につくことができた。
いままでは一部のコア的な人気であった彼だが、今回の小ネタはどうやら読者のハートに届いたようだ。
彼も感無量だろう。いままではイザークにほとんど一位の座は取られていたので、見返してやったというところだ。
其のほかではイザークは安定した人気だし、会長もまぁ、こんなところだろう。
スレンダーはしつこく残っている。ネタはまだ残っているのか?温水器はもう使えないし。正直、心配だ。

打ちきりになったブライトの敗因は作風がくどく、回りくどかった所為だろう。あと、内容が前振り過ぎた。
結局のところ、あまり伏線は作らないほうがいい。そういうことだ。

312 名前:コメント一覧 :04/01/14 02:57 ID:???

>>285
そんなこという人嫌いです!ガンダム?いいから黙ってキングゲイナーみてなさい!(由悠季 )
タイトルの括弧とかは、没作品削った後の数字を消すのを忘れてた。正直、疲れてるな・・(管理人

     /´ ̄ ̄ ̄`丶-‐z__
    /            ≦、     ちょっと待て…!
   ,'          /ニヽ、ゝ
   |       ,ィ/レ'\_, >``
   |    r=| | ̄=。==~「|        悪いが…
   |    |ニ| | u `二´ U\
   |    ヾ,U    __ノ┌_ \    人数を確認させてくれないか……? バランス・・がいい?
   ,.|    /ヽ /==-┬` ̄
 / \/   ヽ u ⊂ニ.\       ニコル・・・ディアッカ・・イザーク……… 3人だけだよな?3人・・・だな?アスラ・・
'" \   \   `ー┬‐r┘ /
   \   \_/l L_  /       いや……なんでもない。念のためだ。
      \_ \| |/ |ェェェェ|
       /  |く/|  | (イザーク)




>>287
ハァ?前より勢いがないだとぉ?貴様ァ!俺のこと馬鹿にしてるのかぁ?!消毒するぞ!コラァ!(イザーク)
消去法で決められるのって哀しいよな。俺の人生いつもそうだけどな。ハハハハハ。
ん、なぁ、おやっさん・・このラーメン・・いつもよりしょっぱくねぇかな・・(スレンダー)
>>288
ほほぅ・・君はとなると、ワシの実力をあなどっていたんじゃな?腐っても連邦軍最高司令官、まだまだネタはあるぞい!(レビル
レビルはこういってるが、正直、彼が一番悩んでいたよ。なかなかいいのがないらしくてね。
今回もだいぶ没になったんだ。スレンダーも結構悩んでたなぁ。単純で短い作品ほど、作家のセンスが問われるからね。(管理人

>>289
結局のところ、ある程度のパターンから作品が抜け出せないということは僕もわかっていた。(ブライト)
いい気になるなぁ?へーえ・・この俺様にそんなことをいってくるとは・・・ふーん・・{と、いいながら相手のコートを剥ぐ}
貴様、良い度胸だな。ふむ・・・・それに良い目をしてお(ry  (イザーク)

>>290
いつも寂しい、ってかいてくれているのは君かな?すまない、読者に嫌な思いはさせたくないんだが、こればっかりは・・(管理人
小生の作品の良さに気がついたということは君にとって僥倖であります。もっとも、それは当然だと思う気持ちもあります。
ですが、このことが君、ひいては大衆の意識の覚醒にも繋がるのではないか、と夢想するのは誰しもが自己の作品を過信するあまり
起こりうる錯覚でありまして、一つの救いようのない罪悪ですが、馬鹿じゃねーの、とはいいがたいことであることも明記しておきます(由悠季



313 名前:コメント一覧その2 :04/01/14 03:03 ID:???

>>292
ゲル・ドル・バ!ゲル・ドル・バ!(レビル)
御大は打ち切り対象にはならないよ。あの人は、あくまで読み切り扱いだからね。
ところで、君の指定するキャラ、申し訳ないがちょっとコア過ぎてわからないんだが。どの時代のガンダムかな・・(管理人)

>>293
エホン・・諸君らは大作の作品を好む傾向があるようだが、それは間違いなんじゃよ。作家の能力は短い文の方がよくわかる。
小ネタを書けない奴は長編をかけるわけもないし、逆もまた真なり、じゃ。まぁ、もっともこれは指揮官にもいえることじゃよ。
ア・バオア・クーのような大戦で勝つよりも、むしろちいさな小競り合いで確実に勝てる指揮官がいい指揮官ということじゃ。
少なくともわしは一年戦争当時そういった安定感のある将官を多く採用したつもりじゃ。(レビル)
隊長、馬鹿過ぎて面白いって、オイ。そりゃ傍からみてるのは楽だろうけど、実際命預けているザフトからしたら最悪だぞ!?
貴様も一遍入隊してみるんだな。そうすりゃわかる。あ、けど、一度入ったら隊中法度により抜けたら切腹だからな(イザーク)

>>295
貴方の希望するキャラクターのその後は小生にとっても大変興味深いストーリーであります。
キエルハイムのターンエーにおける役割というのは実はこの癒しを主題におく本作の中でメーンではありませんが、サブとして重要な
セクションを担っているからです。けれど、書きません。小生の作風が嫌いな奴にかいてやるほど、小生は寛容ではないからです。(由悠季)
僕にとって残ることはたいした意味はない。それに、別に残りたいと思ったわけじゃない。だから、終わったとしてもそんなに悔しくはない。
だけど、この続きが書けなかったということは僕にとって、やはり残念なことなのかもしれない。(ブライト)

>>296
アムロ・レイが死んだかどうかについて僕が述べることは何もない。何故ならそれは既に終わってしまったことだからだ。
シャアの反乱は終わり、メタファー的ニュータイプのフォークロアも終わりを告げたと言うこと以外に、なにもいうことはないと僕は思う。
アムロは君の中で生きているし、また死んでいるんだ。もっともこの台詞は、全ての存在についていえることだけど。(ブライト)
やっぱり猫が好き、ってドラマ、好きだったんだけど、ザフトのビデオ屋にはおいてないってのがムカツク。(イザーク)
最後まで、なんとか、頑張りたいな・・応援ありがとう。次回は、ちょっと値上げの予定だ。(編集者)

>>297
やっぱり俺が脱ぐべきだということだな?(イザーク)
男臭いのが嫌いとかいう奴はワシの魁!連邦塾を百回読むことじゃな。むしろ、男臭いのが病みつきになるぞ(レビル)

314 名前:コメント一覧その3 :04/01/14 03:15 ID:???


>>305
そうでもないだとぉ・・んじゃ、何か?貴様は、股間を露出する変態マスクマンや、幼馴染にマジでkoiする五秒前の男や、
英検5級程度の単語しかいえない奴や、裏で藁人形を五寸釘で打ってそうな奴らのほうが、俺様よりましだというのか?!おい!(イザーク)
正直、今回の作品は冒険でした。けど、そこそこ人気があってびっくり。(スレンダー)




さてさて、コメントは以上です。今回、アンケート結果によりブライト艦長の打ちきりが決定いたしました。
しかし、実は、彼の作品は(中)、(下)と既にすべてできあがっていたので、完全に放置するのも勿体無いし、かといって全部載せると
雑誌としての趣旨が違ってくるので、(中)の三章までを、おまけとして、ここに載せることにします。
続きが読みたい方はどうぞ読んでみてください。長いですが。(編集者)

   γ⌒ ⌒ ⌒ヽ,
 γ         )
  )   /⌒\ /ヘ (
 (   /     )))  | )
 (  /   へ,, /^ |)
  ((| レ, ,, ̄’  ̄’〈
   )( {_{    」〉 |
   ヽそ  ⊂7 /   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    | \__´_/   < 折角全部書いたのに(中)の半分まで!?これでは道化だよ!
   | ̄ ̄l^T^l|    \__________



315 名前:ブライトおまけ :04/01/14 03:30 ID:???
  『  ブライトノア・クロノクル(中) 』

1章  ポストウォー アデレート

アデレート空港の被害は僕が想像したよりもずっとひどかった。
いたるところにミサイルの爆撃の跡と推測される巨大なクレーターができていたし、更にモビルスーツの核爆発跡らしき空洞が地面に
ぼっかりと深淵の穴を穿っていた。空港のビルは粉々に砕け瓦礫の山と化していて、もはやその機能を果たすことは不可能のように思われた。
森らしき所はもはや赤茶色の土壌を隠すことはしていなかったし、また、もはや隠す必要も無かった。
その中で、比較的被害の少なかった南部一帯に僕はいた。
空港の南はじの所には、マフティー・ナビーユ・エリンの機体である≡ガンダムが鎮座されていたからだ。
その機体は、ラーカイラムのなかでみたMSピープルが作っていたガンダム其れ自体にみえた。もっともサイズが極端に違うことを除けば、だ。
メカニックの話ではどこで製造されたのかはわからない、ということだったが、僕からみればアナハイム・エレクトロニクス社の製品だとは
容易に推測できた。勿論、連邦の上層部でもそのことはわかっている筈だ。だが、それをいわないのがまた、大人の世界というものなのだ。
少なくともMSピープルが作ったものではない。その事実が僕を安心させた。
僕は手を伸ばして装甲に触れる。全体的にうっすらと焼け爛れているのは、新しく開発されたビームシールドによるものだと聞いた。
新しい技術がどんどんと出てくるのは、歓迎すべきことなのかもしれない。だが、結局のところ、それは人を殺すためのものにしか過ぎないのだ。

僕はコクピットに入る。
最新型リニア式の3重装甲で覆われたコクピットの中は、実現ディスプレーの面にヒビがはいっているのを除けば、すぐに使えそうだった。
シートに座り正面をむくと、開かれたハッチからガンダムが墜落したときの衝撃波で、なぎ倒されたままの森林がみえる。ひどい有様だ。
僕はそのままの態勢で目を瞑る。ここにいたパイロットがどんなことを思って乗っていたのかを考える。

”全ての人々が宇宙に出なければ、地球は本当に浄化されることはありません。現在、宇宙は人類にとって平等な空間なのです。
問題は、新しい差別を発生させて、連邦に従うもののみが、正義であるという一方的なインテリジェンスなのです”

こちらに到着したときに読ませてもらったマフティーの発言をまとめた書類に書いてあった内容の一部だ。
彼の思想はシャア・アズナブルの影響を多分にうけている。彼の反乱の失敗をうけて更に急進的に尖らせたようなものだ。
マフティー・ナビーユ・エリン。真実、正当な、預言者の王。そのネーミングは自惚れというより、極めて自嘲的なように思える。
僕は彼のなかにシャア・アズナブルの幻影をみることができる。マフティーはニュータイプなのだろうか?
仮にそうだとすると、ニュータイプという名の新人類はやはり、大衆主義に敗北する運命なのかもしれない。

僕はシートに座る。座席は、とても硬質で、お世辞にもやすらぐことなどできそうにない。
そのことは僕にとって意外なことに思える。これでは高揚したパイロットの精神を落ち着かせることなどできないのではないだろうか?
居心地の悪いものを感じて、僕は一旦コクピットのなかで立ち上がり、もう一度深く座りなおす。
だが、シートは相変わらず硬く、生理的にもあまり好ましいとは思えなかった。不愉快といっていい。
僕はモビルスーツのコクピットに乗るという機会はほぼないといっていいが、それでもこの硬さはあまりに旧時代的だと思わざるを得なかった。
これは初期、つまりアムロがRX78に乗っていた時のシートのようで、近代工学の粋を集めたと思われる≡ガンダムが、シーツの部分だけに
手抜かりをしていると考えるのはどうも納得がいかなかった。わざわざ、このようなタイプのシートを選んだとしか考えられない。
なぜだろう?
僕は、暫くこのことについて考えたが、思いついた答えはこういうものだった。
つまり、どんな崇高な理想を唱えているといえども、無差別殺人的なテロリズムをしている自分が、軟らかいシートに座って、
ぬくぬくと人殺しをすることをマフティーは好まなかった。自分を律するために、あえてこのシートに乗っていたというのはどうだろう?
こう考えることで、少しだけマフティー・ナビーユ・エリンというテロリストのことが理解できる気がした。
彼はピュアなのだ。たとえ、それが極めて陳腐な感傷的行為にすぎなくても、そういった感情を捨てきらない男というのが僕は好きだった。

316 名前:ブライトおまけ :04/01/14 03:43 ID:???

「艦長、そろそろ戻りませんと・・・早朝には、マフティーの処刑もありますし」
副艦長のシーゲンが、コクピットを覗きこむようにして、そういったので、僕は立ち上がった。
少し眩暈がした。

ガンダムから降りて、車に乗るときに、僕はもう一度振りかえり、壊れたガンダムの姿を網膜にやきつける。
僕はこれまでガンダムという機体に乗ったことは無いが、それにもかかわらずガンダムという機体にもっとも関係を持った男だとおもう。
そういう意味では僕は、除隊の前にこうして壊れたガンダムをみるのはキリがいいといえるような気もした。
僕はガンダムというフォークロワ(民間伝承)の始まりと終わりを見届けたのだ。おそらく。
ガンダムという一つのフォークロワはこれで終わることになる。そして、おそらくニュータイプという名のフォークロワも同時に終わる。
「それにしても、不穏分子がガンダムという名称の機体に乗るなんて許せないでしょう?」と、ハンドルを握ったシーゲンがいった。
「そうでもない。おおかれすくなかれ、ガンダムのパイロットには反骨の精神があったのさ」
と、助手席の僕は応える。「・・・たとえ、機体がなくなったあともね。それに、ガンダムの最後はいつもあんな感じさ」
「そうなんですか?」 
「そうさ。ばらばらになったり、首がなかったり、機体が焼かれたり・・・総体的に不幸なんだよ」
答えながら僕は振り向く。アデレートの絵に描いたように鮮やかな夕焼けが、ガンダムを赤く染め上げ、ゆっくりと飲み込もうとしていた。


2章  処刑 と 少女


軍用ワゴンから降りた僕が最初に目にしたのは処刑が行われるにしては豪華すぎる屋敷ではなく、
屋敷の前でこちらをみている、その少女ーーといっても17,8くらいだろうがーーだった。

少女の顔は美しかった。色が白く、長い金髪がよく似合っていた。きっと、僕がもう20歳わかければ恋をしていたに違いない。
こちらをじっと見つめるその瞳はくるっと見開かれている。薄紅色した唇が小刻みに震えているのがわかった。
寒いからではなく、その震えは精神的な面のようにおもえた。彼女は僕をみて、ひどく動揺しているように思える。
僕は少し彼女の態度と容姿に興味を持ったが、護衛していた兵士がこちらにきて大仰に敬礼したので、そちらに目をやった。
「准将は、屋敷で、お待ちであります」
「ン・・・」
と、僕は敬礼をすると、屋敷に向けてゆっくりと歩いた。軍が民間用に接収した屋敷であると聞いていたが、ひどく立派なものだった。
財閥が所有しているものかもしれない。振りかえると、まだあの少女がこちらをみている。まだ震えている。
「あの少女は?」と、僕は護衛の兵に聞いたが、彼は首を振って何も答えなかった。このあたりに民間人が近寄れるわけがないということを
考えると、誰かの愛人か妾だろうということは容易に推察できた。政府の高官連中・・・、ひょっとしたらケネス准将の愛人かもしれない。
だとしたらうらやましいことだな、と僕は思った。そして、ミライのことを思った。彼女はどこにいってしまったのだろう?
やれやれ、僕は何をしているのだろう?決まっている。マフティー・ナビーユ・エリンの処刑に立ち会おうとしているのだ。

僕は屋敷に直接向かわず、処刑が行われる裏庭にいってみることにした。
庭は、左右に、つたのからんだ古めかしいレンガの塀に囲まれていて、真正面には、夜明けの光に、時折反射するアレキサンドリア湖が見えた。
中央に、一本の柱が立てられていた。マフティー・ナビーユ・エリンをつなぐための柱だろう。
十数名の緊張した面持ちの新兵達が拳銃を手にし、休めの姿勢のまま立っていた。黒い服に身を包んだ牧師もいたが、
マフティーはきっと祝福を拒否するのではないかな、と僕は思った。彼が噂どうりの男なら、少なくとも人生の最後に直面して、
神にすがるような男とは思えないからだ。すくなくとも、僕なら祈らない。

”テロは、あらゆるケースであろうと、許されるものではないからです”
彼はアデレートを侵攻する直前にこう述べた。僕もそうおもう。だけど、この銃殺もまた軍事裁判という正当な手続きを踏んでいない以上、
連邦政府による私刑である。そして、私刑もテロと同じようにまた、あらゆるケースで許されない。
もっとも、こういった処刑が政治にはつきものといえばそうなんだけど。屋敷に戻りながら、僕は思った。

317 名前:ブライトおまけ :04/01/14 03:55 ID:???

3章  閃光のハサウェイ


通された応接間で、眠気覚ましに熱いコーヒーを飲んでいるとケネス准将がやってきたので、僕は立ちあがって敬礼をした。
「ブライト大佐。それではいまからマフティー・ナビーユ・エリンの処刑を、地球連邦政府、ケネス准将の名において執行します」
ケネス准将の顔はこころなしかやつれてみえる。まるで処刑されるのはマフティーではなくて彼みたいだ。
そのことを彼に言うと、苦笑しながら「最近、寝てなくてね」といった。僕は、大変ですね、と同情する。
僕は彼がマフティーにたいして友情のようなものを感じていることを知っている。
マフティーを絞首刑にすべきだという声が、政府首脳にあり、それを阻止し、銃殺という軍人的な名誉を与えるように進言したのが、
彼だということも聞いている。そのことを不思議に思い、マフティーとケネスはつうじていたのではないか、といったようなくだらない
推察をしたものがいることもしっている。だけど、それは実にばかげたことだ。
シャアとアムロの例をあげるまでもなく、戦争という特殊な状況下では敵対する人と人は極めて特殊な関係を築くことがあるのだ。
そして、そういうものがなければ僕らの存在はあまりにも無意味にすぎる。人は兵器ではないのだ。
「それでは、立ち会いましょう」
と僕がいうと、ケネス准将は首を横に振った。
「これは、私の仕事です。どうぞ終わるまでここにいてください。わざわざ処刑をみることはありません」
「しかし、それでは・・」
「いや、いいのです。是非、そうしてください。こんな仕事に准将と大佐の二人が揃って顔を出すまでもないのですから」
「そうですか?そこまでおっしゃられるのならば、そうします」
「ええ、是非そうなさっていてください」と、彼はどこかほっとしたようにいった。「こんなこと、私だけで充分です」
それでは、と去っていく後姿を見送った後、ソファに沈みこみ、コーヒーを啜った。やけに苦かった。
僕は最近、コーヒーはミルクを入れて飲むことにしているのだ。ミライがそうやって飲んでいたのを真似しただけだけど。

銃声が聞こえたのは、それから五分程した後のことだった。
それを合図に、僕は立ちあがると窓際に近寄った。先程と同じ、強張った顔のままの兵士達が柩を運んでいくところが目に入った。
中には勿論、マフティーが入っているのだろうと僕は漠然と思った。彼らの歩く先には一台の軍用ワゴンが待っていた。
僕がそちらに気を取られているとケネス准将が戻ってきた。右手には、鞭を持っている。
「ご苦労でした」と、僕は声をかける。「マフティーの様子はどうでしたか?」
「あぁ・・・いさぎよい。堂々としていましたよ・・本当に」と、彼は言った。
「彼の遺体は?」
「火葬場行きです」と、彼はいって、鞭を放り投げ、ふぅ、っと溜息をついた。
僕と彼は屋敷を出て、道路に止めてある車のところまで二人で歩いた。周りをみまわしたけど、もう朝方見た少女はいなかった。
「大佐もアデレートの任務が終われば除隊でしょう?どうなさるのです?」と、車に乗りこみながらケネス准将がいった。
「サイド1のロンデニオンで、妻とレストランをやろうと思ってます」
と、僕は答えながら、それはもう無理だろうな、と思った。彼女はもういないのだ。
引継ぎの打ち合わせの時間を確認し、ケネス准将の車の後ろに止めてあるワゴンに乗りこむと、僕は大きくため息をついた。
なんだかよくわからないけど、気分が悪かった。むかむかと身体の底から吐き気のようなものがこみあげてきた。
外気をいれれば、少しは気持ちがよくなるかもしれないと思ったので、僕はウインドウを下ろした。
太陽はもうすっかり昇っていて、アレクサンドリア湖は、その身体一杯に太陽を浴びて気持ちよさそうにたゆたっていた。
その風景をみると、つい十分前にそこで死んだものなどがいることなど、僕には信じられなかった。
(以下、4章以降割愛)


コメント 「 マフティーの正体を知った後の、ブライトの行動は、いつか発表の機会があれば」

318 名前:通常の名無しさんの3倍 :04/01/14 12:30 ID:???
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!・・・が
赤棟で何を聞いたのか、ブライトの中後編・後編にわたる長い話とは何なのか・・・
これでは生殺しだよ!

319 名前:ほげら~ :04/01/14 20:35 ID:VKFdjnzo
全くだ。
どっかで4章以降を載せてもらえないだろうか?
アンケートに入れなかった俺がいっても埒もないことだが…。

320 名前:通常の名無しさんの3倍 :04/01/14 21:27 ID:???
レビル凄いな。

321 名前:292 :04/01/14 21:38 ID:???
>>313
ホワイトベースにいたサイド7からの避難民です。
決定的瞬間を目撃したアムロを鬱にさせました。
しかし、生き延びるために手段を選ばない「男力」度は旧世紀の福男にすら
劣っていないと思います。

               _,,,,,,,,,,,,_
           , :'"´ _... --、 `゙丶、
          / _.. - ''    ..:  .:.::ヽ
         /:, '       ` 、  .:.:::::',
        i:'       __   .. ` 、.. .:.:::',   ねこばばはしていない
        !    ,,:='''´    : .  : .:.:::::,!_   妬みの声があるのでしょう
         !,,:=、    _,,,,,_,   :  ` 、r',r ヽ
          ! _.. ;   ´ ̄    : .   ! iヽ :|  
        l'´- /   -、       :   ! ー 'ノ
        !  r_  r=ノ    . :    :r-ィ'  
        ヽ  `__............  :      ! l
          ', , '___,,.--‐'´  .    :,' |
          ヽ 、 ̄,,.. ''´   :   .:/  !、
           ',  ̄    . :  , :'": :  ト、\
           ヽ.. .. : : :_,,. '" : : : :   l、!  \

322 名前:通常の名無しさんの3倍 :04/01/14 23:54 ID:4KrqZEUY
>>274
ふんいき だアホ

323 名前:通常の名無しさんの3倍 :04/01/15 00:53 ID:???
それ以前に
「チームのなかがいいふいんきを作るZE!」の日本語がおかしい。
英検5級どころか日本語が怪しい。さすがディアッカ。

そんだけ。

324 名前:通常の名無しさんの3倍 :04/01/15 01:33 ID:???
イザークには是非とも平と俺の関係を描いていただきたいものだ。

325 名前:通常の名無しさんの3倍 :04/01/19 14:13 ID:???
保守しておこう。

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