<< previous page | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 | next page >>

第三回天下一武道会 三月一日

[ 第三回天下一武道会 サイドA ]

第三回天下一武道会 三月一日

183 名前:投稿日:03/04/02 04:42 ID:???


   第 三 回 天 下 一 武 道 会  サイドA



三月一日(豪雨)


今日も、いつもどおりに九時に出勤した。
少しくたびれたコルセットに乗った私はうんざりするような渋滞の中を、ダラダラと走っていつものビルに滑り込む。
私が、出勤しているビルは、まるで東京都庁のように、空に向かって飛び出ているかと思えるほど高い。
エリートだけが通える超一流企業だ。世界でも5本の指にはいる企業といっても過言ではない。
警備の男に社員証を出して通行許可をもらう。

厳重な警備をしている受付の男たちに、少し同情の念を隠せない。
こんな雨の中、彼らは傘もさせないのだから。だが、同時に仕方ないとも思う。
所詮、能力のないやつはあんな仕事がお似合いだ、とも思うからだ。


エレベーターで最上階まで登る。


会長室付きの秘書。
それが私の肩書きだ。見た目は重要な役職に見えるが、実は・・ただの使い走りで尻拭い役だ。
いつも他人の推測のつかないことをやってのける会長のお守りというのが実情だ。
給料は確かにいいが、その分、心にかかる負荷は並大抵のものじゃない。


184 名前:三月一日(2)投稿日:03/04/02 04:46 ID:???



私はいつも、会長のお守りにうんざりさせられている。
この会長、一代でこの会社を築いた伝説的な人物なのだが、その分行動はとっぴょうしもない。
しかも、現社長にだまされて会長職に追いやられているものだから、半分、自暴自棄のような行動に走りがちだ。
この前は、あるテレビを見て、殴り込みにいくとか言い出すし、ラジオ番組にでては子供だろうと平然と罵倒する。
雑誌のインタビューではほとんど記事にならないと記者が嘆くし、テレビの依頼なんて私が事前に断っている。
そうしないと、どんなことをいうかわからない。生放送など永遠に出せない。NHKに出たときなど、一晩中、神に祈ったほどだ。
会長は、そんな苦労をまったくしらない。しわ寄せは全て私にくるのだ。勘弁してほしい、と思う。
会長に憧れて、秘書志望にしたのは、私の一生で一番のミスだ。こんなやつだと知っていたら絶対入らなかった。

私は、秘書室に入って机に座る。毎日磨いているので、ゴミひとつない。気分がいい。清清しい気持ちで席に座る。
すると、待ちかねたかのように禿げ・・いや、T会長がやってきた。私の春は、もう消えてしまった。
秘書室のすぐ隣は、無論会長室だ。電話があるのだからから、それで呼び出せばいいのだが、この人はいつもすぐこっちにはいってくる。
彼はひどくハイテンションだった。笑顔が、うっとうしい。
精神患者の躁状態に近い。こんなときはろくなことがない、と直感でわかっていた。私はこっそりため息をつく。
私は、朝の挨拶を丁寧にしようと立ち上がると、社長は手でそれを制止して、今日は凄いですよ、といった。


何がすごいのか、と私は丁寧に聞いた。
会長は、とりあえずついてきてください、、と言い放つと仕事に取り掛かろうとする私を半ば引きずるように部屋からでていった。
さらば、私のデスク。山積みの仕事と、私は思った。





185 名前:三月一日(3)投稿日:03/04/02 04:50 ID:???

会長は自分で運転をするから私は何もすることがなく、ただ窓の外から流れる景色をみていた。
いつのまにか、雨は次第にやんできていた。通り雨とは、おもえなかったのだが。
今思えば、私の運命を象徴していたのかもしれない。
車で走ることざっと3時間。私は、とある場所に下ろされた。
つれてこられたのは、都心から少し離れた、わが社の会社私有地の中にポツンと作られた、とあるアパートだった。


アパートが二つそこにはポツンと立っていた。
いや、アパートというには少し大きい。ちっちゃなマンションといった方が近い。全部が、真っ赤に塗られた悪趣味な建物だ。
そのちっちゃなマンションの隣に、隣接するようにもうひとつ別のマンションがくっついている。こっちは白だ。
いや、よくよくみていると二つの建物は真中のところに通路があって繋がっているらしかった。凝ったつくりだ。
しかも、どうやら二つとも木造らしい。だから、私はこれをAアパート、Bアパートと便宜上呼ぶことにする。
白いのがA、赤いのがBだ。
アパートのある建物内には、まるで小学校のグランドを5つぐらい掛け合わしたような広い敷地があった。広い。
いつのまにこんなものを建築したのかと私は、とてもうんざりした。何考えてんだよ、と思ったのだ。
また、私がすべての尻拭いをしなければならないだろう。そのことを考えただけでも、私の胃は痛んだ。


会長に促されてAアパートの方の玄関から中に入る。玄関で靴を脱がされる。土足禁止。ふむふむ。
だが、スリッパはない。私は、仕方なしに靴下で歩くことになった。
中は、驚いたことに、まるで昭和50年代をイメージしたかのような古いつくりだった。はっきりいってボロイ。
しかも、どうやら、共同浴場に、共同トイレの作りらしい。さしずめ、アパートというより寮に近いものだ。
子供のころ読んだ「めぞん一刻」のような感じを想像してもらったらいいかもしれない。
まるで、私はあの時代にタイムスリップしたような印象さえ受ける。古きよき昭和の時代だ。
古ぼけたガラス板の玄関、木でできた床、歩けばぎしぎしと嫌な音を立てて軋むところなど実にリアルだ。
とても新築とは思えない。
わざわざこんな建物を建てるとはさすが、キているな、と私は思った。



186 名前:三月一日(4)投稿日:03/04/02 04:53 ID:???

靴を置く棚に目をやると、どうやらここにはざっと・・10人以上は住んでいるらしい。
名前のプレートを見てみる。

カイ・シデン、アムロ・レイ、レビル、スレンダー 、ロラン・セアック、カツ・コバヤシ・・・etc

そういった名前が乱雑に張られている。
私は頭が痛くなってきた。会長のやろうとしていることがよくわからなかった。


会長にその旨を伝えると、会長は急に憮然となって
「そういうこと聞く人嫌いです。みればわかるでしょ!」と吐き捨てるようにいった。
見てわからなかったから聞いたのだが、と思った私は泣きたくなってきた。


そんな私の表情を見て、会長は仕方ない、といった感じにため息をつくとちょっと待ってなさい、というと
私を玄関に残して、スタスタとあるいていってしまった。トントントンと、階段を上っていってしまったのだ。
残された私は仕方ないので、このアパートの見取り図を確認してみた。
玄関前のここには、掲示板が置かれている。そこに張られてあったのだ。ほかにもたくさん張られている。
私は、それを眺める。
どうやら一階は管理人の部屋や、共同浴場、食堂、などがあるらしかった。
二階と三階は、それぞれ住人の部屋になっているらしかった。まさしく、寮だ。男子寮。嫌な響きだ。
屋上は洗濯物を干せるようになっているようだ。

187 名前:三月一日(5)投稿日:03/04/02 05:03 ID:???



私は、ため息をついた。こんな見取り図をみてなんになるっていうのだ。
考えても仕方ない。なるようになるだろう、というのが私の会長との経験で得た唯一のことだった。
いつも、あの人はこっちの推測の斜め前を悠然といくのだから。
私は、正面玄関のところに座り込んだ。
そこには、一応椅子がおいてあったのだ。電話があるから(しかも黒電話)ここで話すためだろう。
ボロイ椅子だ。年季が感じられる。本当にどこかから調達してきたのだろう。
アンティークショップでしかみれないな、と私は座り心地の悪さに眉をしかめながら思った。


暑くなってきたので、背広を脱ぐ。ついでにネクタイもはずす。別にかまわないだろう、と思ったからだ。
こんなところでネクタイをしっかり締めてられるほど、私はできた人間ではなかった。
大体、三月なのにこの中暑すぎる。暖房を入れすぎだ。もったいないぞ、と思った。
ネクタイを外すと少しは涼しくなった。
気が楽になって、私は大きなあくびをする。昨日はほとんど寝ていない。女が寝かせてくれなかったのだ。
首を二、三度回して眠気を取ろうとする。何回かまわすと眠気は多少薄れていった。
しっかりしないといけないな。と、自分に気を引き締めなおす。頑張らなければ、と思った。
そして、なんの気なしに掲示板に張り出されていた張り紙を見る。

   「  や  ら  な  い  か ? 」

それだけしか書いてない張り紙があった。
まるで、意味がわからない。墨で、書きなぐるようにかかれている。
私はその張り紙をまるで間抜けのように、ぼうっと眺めた。
どれだけ見ても意味がわからなかった。何をやるっていうんだ?さっぱりわからない。
けれど、じっとみていると、どこかその文字の中にどす黒い欲望、と言ったものを感じることができた。




188 名前:三月一日(6)投稿日:03/04/02 05:05 ID:???



そのとき、玄関の方から音がした。私は反射的に振り返った。一人の女性が玄関のガラス戸を開けて入ってきたとこだった。
買い物カゴをさげた女性だ。髪は金髪。目がとても澄んだ美しい女性だった。
街角でであったら、十人中9人の男が振り返るだろう。それほど、美しい女性だった。
その女性は私をみて、多少驚いたようだった。確かに、玄関前の椅子に頓馬のように座っている自分は不気味だろう。
しかも部外者だ。驚くのは無理がない。
だけど、私だって好きでこんなとこにいるわけじゃなかった。あの禿・・いや、会長の所為で仕方なくここにいるのだ。
それを主張したいわけではなかったが、私はわざとらしく立ち上がると、コホンとひとつ咳払いをした。
その咳払いで、何気ないものだったが、その場の一瞬の空気は緩和したようだった。
彼女は私を変質者と勘違いしてたらしく、玄関先にたったままだったが、その動作で安心したらしく、ようやく靴を脱いで上がってきた。
彼女が靴を下駄箱に直すとき、私は目ざとく名前をチェックした。・・セイラ・マス。
要チェックだと、めざとい私は思った。いい女には目がないのだ。


私は、彼女がこっちに振り向きなおしたのを見計らって爽やかに挨拶した。
自分は、この敷地の所有会社の社員であると。今は、会長に連れられてここにきていると簡潔に述べた。

彼女はその言葉で「ああ、そうなのですか。それじゃ、貴方が・・」と何かに気がついたようにいった。
私が、その言葉の意味が気になって問いただそうとした直後、会長が階段を降りて現れた。
彼女が、会長を見て挨拶をする。会長も今帰りですか、と聞いている。
そうです、と彼女が答えたのを頷いてきくと、私の方を振り返り、「ちょっと、食堂に来なさい」といった。

私はため息をつかざるを得なかった。



189 名前:三月一日(6)投稿日:03/04/02 05:06 ID:???



食堂はそんなに広くはなかった。
おそらく、二十人も座れば満員になるだろうと思われた。
椅子の数、机のスペースから計算して、それは間違いない。ざっと二十人だろう。
けれど、今は私と会長しかいない。


私と会長は、そこのテーブルに置かれてあった水差しから水をコップに移して飲んだ。
すごく生ぬるかった。


会長は旨そうにそれを一気に飲み干して一度唸ると、ようやく話し出した。
とても、楽しそうに。愉快そうに。目を輝かせながら。
今思うと、私はその話を聞きながら何度、目の前の水差しを頭にぶつけてやろうと思っただろう?
顔面をこの前のボブサップのようにしてやろうと何度思っただろう?
多分、18回は思ったに違いない。それほど、ばかげた話だった。まさに、コメディだった。
今、思い出しても笑えてくる。ペンを持つ手が震えてくる。ハハハ・・ハァ。





以下、全文。
私と会長の会話。一応忘れないうちにかいておこう。
(会長は私に対しても敬語を使うのだ)



190 名前:三月一日(8)投稿日:03/04/02 05:09 ID:???




「びっくりしたでしょう?こんな建物に突然つれてきて。その点はまず君に謝っておきます。
順をおって話しますからしっかり聞いてください。僕は思ったんです。このままじゃいけない、って。
僕がニュータイプって言葉を使わなくなったのは、 ニュータイプの概念を拡大解釈する人が嫌だったんです。
ニュータイプは、エスパーじゃないよ、っていってもみんなが聞かないからなんです。
だから、大河原とかが新作作ろう、とか何いっても僕は首を縦に振らなかったんです。ニュータイプは死んだとまで思ったんです。
だけど、最近僕の中でなにかが変わりまして、決してロリコンがアカデミー賞をとったからじゃないんですが、
ニュータイプって概念を消し去るのはもったいないな、って思ったんです。
私は、一度絶望したけれどもう一度だけ、夢を乗せられるんじゃないかと思ったんです。
それには、人は進化するべきだ、という僕自身の考えがあるからです。
それはどういう事かというと、 ニュータイプを今度は戦争ものじゃなくて、別の面から作り出せないか、と思ったんです。
これは私にとって、ある種の転換になったんです。」


「転換・・ですか?」


「ええ。どういうことかというと、ちょっと説明が難しいのですが、まぁ、聞いてください。
私はニュータイプを今までアニメという媒体で表現してきました。これが違ったんだと私は気がついたんです。
アニメは通り過ぎる情報ですから残らないんですね。これは盲点でした。
だから、今やってる・・シードですか?あんな愚にもつかない物を生み出してしまうんですね。」


「はぁ・・確かにそれはそうですが。」

191 名前:三月一日(9)投稿日:03/04/02 05:20 ID:???



「だから、私は今度は雑誌を作りその中で表現してみたいと思うんです。
題名も決めてるんです。週刊少年ガンダムっていうやつなんです。これで僕はもう一度チャレンジしたいんです。」



「雑誌を作るって・・会長の小説は読みにくいって評判ですよ?」


「ええ。だから、僕は書きません。アムロくんや、ロランくんといった若い人たちに書いてもらおうと思います。
そのためにこういったアパートを作ったんです。昔でいうトキワ荘みたいなものです。
知ってますか?トキワ荘?しらなくても構いませんけれど。
そして、私は同時にランバラルや、ヤザンといった年を取ったキャラにも発表の場を与えるべきだと思ったんです。
ひとつには、ニュータイプとは成長する人間がなるものだという事がわかった時点で
アムロ・レイなどが主役として果たしてきた仕事は終わっているんじゃないかと僕が思い始めてしまったという事もあるんですね。
さらに、ニュータイプとは人と分かり合えるんですから当然、活字という媒体でも自在に表現できなければおかしいんです。
そしてオールドタイプといわれる人達も、もしかしたら戦場ではなくてですね。
ペンをもった媒体の上でならきっと互角に戦えると信じたいという面もあるんです。そうじゃなきゃ、悲しいんです。
そうすれば、彼らもニュータイプとなれるんじゃないか、と僕は信じたいんです。
今のガンダムでは、オールドタイプに救いがありませんから。」


「トキワ荘・・」


192 名前:三月一日(9)投稿日:03/04/02 05:22 ID:???


「だから、ある意味救済ということでもあるんです。これは。僕は、そういう風に考えると、物凄いカタルシスを感じるんです。
昔からそうなんだけど、僕って思い立ったらすぐに行動しちゃんですね。
だから、このアパートも君に黙ってつくっちゃいました。もうひとつ別の計画も立ててます。これも貴方にお願いするつもりです。
だけどとりあえず、君にはここで彼らの書くもの・・それは、漫画であり、エッセイであり、小説であるんですが・・
それに対しての編集者的存在になってほしいと思ったからです。あくまでも存在です。
もちろん、君がそんなことをしたくないのはわかっています。わかってて敢えて頼みたいんです。
そういう意味では、僕ってひどい上司だなぁ、という気持ちがあります。 バカジャネーノ?、って思ってくれても構いません。
ただ、そういう事を経験することで君も大きくなれると思うんです。僕は、そう思うんです。
だから、君にはここに管理人として住み込んでもらおうと思うんです。」


「え・・!?私が・・ここに・・?住み込み・・ですか?」


「そうです。私は某少年漫画のように毎回アンケートを取って、一番人気のないものを打ち切りにするつもりです。
それはくだらないものを読んで、これが富野の言いたかったことと思ってほしくないからなんです。
たとえば、今度十人の人に連載を始めてもらったとします。単純に考えると十週で雑誌は終わります。
最後の週は一人の作家が全ページを書くことになります。あり得ないと思うでしょ。けれど、僕はそれでいいと思うんです。
ビビッドな感性を育てるにはそのぐらい冒険が必要だと気づいたんです。最後まで残った人にはそれなりの物をあげるつもりです。
端的にいえば、これは天下一武道会ってことです。他の漫画の表現を遣わせていただくのは大変恐縮ですが。
常識に考えて、こんなのは失敗するに違いありません。けれど、私は貴方ならそこを変えてくれると信じたいんです。
そのためにはここに住み込んで、彼らをサポートしてあげて欲しいんです。最後の一人になるまで。」

「そんな・・めちゃくちゃな理論じゃないですか・・・・」

193 名前:三月一日(11)投稿日:03/04/02 05:25 ID:???



「まぁ、深く考えないでください。あなたはただ、面白いか面白くないか判断してくれればいいんです。
別にまた富野が何かし始めたよ、ってぐらいに考えてくれていいんです。どうせ失敗するってみんな考えるのはわかってるんです。
けれど、考えてください。ガンダムだって最初は決して成功したわけじゃないんです。事実、打ち切りされてるんですから。
終わって僕が途方にくれていたら、いつのまにか人気が蘇っただけなんですね。そういう意味ではラッキーなだけだったんです。
だから、これだって最初は批判を浴びるけれども、最後はみんな認めてくれるんじゃないかな、と思いたいんです。
正直、それが成功したならば僕はもう死んだって構わないんです。とりあえず発行部数は100万部を目指します。
で、最後にいいたいのは、僕が酔狂でこれをするんじゃないってことです。貴方だからこの企画を頼めるんです。
もっと端的にいえば、貴方にしか頼めないんです。だから、お願いします。」



そういって見事に禿げ上がった頭を下げる。
私は深いため息をついた。



「・・わかりました・・どうせ、私に拒否権はないんでしょう?
いやですけど・・・首はもっといやだから・・引き受けますよ・・」





以上が、この会話の全文である。
書いてみると、彼がいかに支離滅裂なことをいっていたのかよくわかる。
しかし、話してるときは異常な説得力を持っているのも確かだ。私は、それが彼の凄いとこだと思っている。


194 名前:三月一日(12)投稿日:03/04/02 05:27 ID:???





この後、ここの住人との顔合わせがあったが、それはまた明日にでも記すことにする。
私は、ここに残って管理人になることになった。しかも「週刊少年ガンダム」の編集者、としてだ。
非常に憂鬱だ。
一階にある管理人室にまさか私が住むことになるとは思わなかった。
スーツしかないから明日はマンションに取りに帰らなければいけないだろう。
いや、もうあのマンションを引き払ったほうがいいのかもしれない。いつ帰れるのかわからないからだ。
どうしてこんなことになったのか、私は未だに理解不能だ。
だが、現状はどう考えても夢ではない。私は、これから、どうすればいいんだ。





195 名前:三月一日(13)投稿日:03/04/02 05:31 ID:???



・・ちなみに今この日記を書いているときにグエンという人物が早速、漫画を書いたので見てくれと尋ねてきた。

題名は「ロラン1/2(二分の一)」というらしい。

水を浴びるとローラという少女になってしまう特異体質を持った、ロランという少年が起こす、ドタバタコメディだそうだ。
絵は、上手いが何か邪悪なモノを感じる。大体毎ページ、主人公のヌードがあるのはどういうわけだ?サービスにしても過剰すぎる。
しかも食卓の絵には、ウインナーしかない。なぜだ?疑問に思った私は、グエンという青年の話をきくことにした。
色々と彼の話を聞いてみると掲示板にかかれていたあの張り紙は、彼が張り出したものだとわかった。・・変態カモシレナイ。
危険だ。
そう判断した私は、こんなのはボツだ。さっさと持って帰れ、と冷たく言い放った。
しかし彼は「うれしいこと言ってくれるじゃないの」 と全然めげてなかった。なんか危険を感じたので彼を全力で部屋からたたき出す。

叩き出して部屋のドアを厳重にロックした後、布団に倒れこむ。そして頭だけ上げて部屋を見渡す。
・・管理人室も昭和50年代的な部屋のつくりだ。
布団に畳、あとはコタツ机、そして白黒テレビ。これですべてだ。これは、会長の懐古趣味なのだろうか・・。
ただ、データを送るためのパソコンだけが現代との接点を感じられる。私は部屋の裸電球をじっと見つめた。
ふと、枕元に、まだ原稿用紙が一枚残っているのに気がつく。彼をたたき出した時に、落ちたものだろう。
寝転んだまま手を伸ばしてそれを拾うと、即座にグシャグシャに丸めて、ゴミ箱に投げ込む。ポス、と音がしてはいった。
ナイスホールインワンだ。やったー。ハハハ、と声を出してひとしきり笑う。


・・この仕事、早速辞めたくなってきた。明日からがとても憂鬱だ。
神よ、私を導いてください。私は生き延びることができるのか?そして雑誌は本当にできるのか?
 (以上、一日目終わり)


196 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:03/04/02 09:11 ID:???
(;´Д`)ハァハァ

197 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:03/04/02 10:19 ID:???
ワラタ

198 名前:通常のシャアの3分の1  ◆5ELswOuR7E 投稿日:03/04/02 11:22 ID:???
「やらないか?」に“毎ページ主人公のヌードのある漫画”
激しく笑いました(w

199 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:03/04/02 11:59 ID:???
乙です。
いや、しかしこうきたか。。。
楽しみが増えますた。

200 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:03/04/02 15:52 ID:???
>>175
デミトリーはザクレロのパイロットですわん。一応。

201 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:03/04/02 16:31 ID:???
グエン希望した者です。さっそくの起用有難うございました。
「週間少年ガンダム」
そう来たかぁー
これからも楽しみにさせていただきます


202 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:03/04/02 18:26 ID:???
すげぇ、期待が持てる出だしです

しかし、1さんのお年がバレるような(w

203 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:03/04/02 19:22 ID:???
ウホッ!禿しくワラタ…
まさかこう来るとは予想だにしていなかった!

204 名前:ほげら~投稿日:03/04/02 23:03 ID:???
祝!1さん復活。
いや、去年からお世話になってます。
また今回も楽しそうなの考えてくれちゃって…。
いや、ブックマークから削除しなくてよかった。


205 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:03/04/02 23:44 ID:???
しかし、1さんのトミーノは生々しい

<< previous page | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 | next page >>