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第三回天下一武道会 三月十六日

[ 第三回天下一武道会 サイドA ]

第三回天下一武道会 三月十六日

558 名前:三月十六日投稿日:03/06/04 18:28 ID:???



ただいま、夜中の12時だ。
私は非常に眠たい。だから、さっさと日記を書き上げてしまおう。
ユンケルを飲んだのだが、体の疲れは取れてない。リボビタンDにすればよかったと後悔。


さて。

この雑誌は、かつてない急ピッチで、発行されている。隔週の雑誌も多いこの時代、四日に一冊のペースは前人未到だ。
このペースで雑誌を発行し続けるのは古今例がない、と通ぶっていいたいくらいだ。
無論、四日で1話書き上げる作家達の負担はかなりのものである。彼らの心労を思うと流石の私も多少気の毒になる。
ネタがなくて苦しむ姿ほどつらいものはない。ある雑誌の作家は精神がおかしくなって狂ったり、あたまが剥げたりしたそうだ。
それもこれも締めきりからくるプレッシャーのためだ。これはある意味、シロッコ並みの強力なプレッシャーだろう。

それを回避するために1度だけ、彼等は好きなタイミングで休載できることになっている。
ネタがどうしても思い浮かばなかった時のための救済ともいえる。なにせ四日しかないのだ。
ネーム、下書き、ペン入れ、その他・・などを考えるとこうしないとどうしようもない。作家一人につき一回だけの特権。
「作者取材のため休載します」というフレーズだ。これで一回だけ休める。


だが、実際に締めきり当日にイザークが私の部屋にきて、しゃあしゃあと今回は休載させてくれ、と言われたとき私は焦った。
イザークがいないのはかなりキツイ。彼は人気があるのだ。発行部数に差がでてしまうかもしれない。
ドラゴン○-ルが終わった直後のジャンプのように。ガクッとさがってしまうのは困る。
だが、権利として与えているものだから認めないわけにはいかなかった。
それで渋々だが、私はそれを認めざるをえなかった。
代わりに他の作家に増ページしておくことにした。そうしないと雑誌の総ページ数が薄くて困ってしまう。
私は集まった原稿をいつものようにスキャンにかけながら、これでなんとかなればいいがな、と頭の中で祈っていた。



559 名前:三月十六日投稿日:03/06/04 18:30 ID:???

その作業の合間。スキャンをひとまず終わらせた私は一旦休憩した。時間は昼を少し過ぎたところだった。
適度な休憩を取らなければ、効率はあがらない。最低でも2時間したら10分は休憩するべきだろう。
疲れがとれ、再び集中力がますからだ。これは受験勉強でもおなじことがいえるだろう。


手もとの時計を10分後になるようにする。そして、時計を裏返して、時間を見れなくする。
ちらちら時計を見ながら休憩して疲れが取れるわけがない。余計に疲れてしまうだけだ。
時計を気にしても仕方ない。精神的に安らげない。


私は、タバコを吸って天井のライトに向かって吐く、手元のコーヒーを飲みながら、レコードを聞く。
私はレコードで曲を聴くのが好きだった。MDなどは確かに便利だが、やはり聞きなれたこの音に比べるとどうも温かみがない。
デジタル化というのだろうか、それがどうも私には合わない。やはり自分は多少古風なのだろう。
レコードのどこかぼんやりしたところがあるほうが、味がある、という風に思えるのだ。なんでもデジタル化するのは味気ない。
ヨハン・シュトラウス指揮によるカノンを聞きながら、私は、もうぬるくなっているコーヒーを飲み干す。
僅かに開けておいた縁側のガラス戸から風が入ってきて、そのそよかぜの心地よさに私は目を閉じる。
どことなく春の甘い香りが感じられた。今日もいい天気だった。雲一つない晴天。空気がまるで澄んでいるようだった。
太陽の光も部屋に差込んでいて、おぼろげな光の線を部屋に残していて、それを見ることが出来た。気持ちのいい日だった。
そうそうこんな穏やかな日はあるもんじゃない。無論、仕事があるから忙しいことは忙しいけれど。



560 名前:三月十六日投稿日:03/06/04 18:34 ID:???




ポットからコーヒーのお代わりを飲み、昼用にと、作っておいたサンドイッチを食べる。
鉄仮面の店で買った食パンはしっとりしていて、サンドイッチに使うのにちょうどいい。
私はそれをゆっくりとかみ締めるようにして食べる。

そこで時計が鳴った。


きゅうりとハムの絶妙な味のマッチングを味わいながら、私は再び作業に取りかかった。
アオリを考え、表紙を考え、掲載順を考え、作者コメントを書き写す。
頭を捻って、読者のアンケートを見て、作品にもっともふさわしい掲載順、アオリを考えるのは酷く疲れる作業だった。
もう一人ぐらいこの作業を手伝ってくれる人が欲しいと思った。
それが美しい女性、たとえばセイラ・マスのような女性であれば楽しくできるのにな、と私はひとりごちた。
そうすればこの作業はまるで別の作業のように楽しく、有意義なものにかわるであろう。
だが、そんな妄想をしてもしかたがなかった。
現実には私はひとりで、音楽を聴きながら、ひとりで黙々とやるしかないのだから。
そう思うと少し淋しさを感じる。まぁ、だけど愚痴はここまでにしておこう。
いいだしたらきりがないの愚痴である。そして大抵の場合、ストレスが解消されるということはない。
表紙をつくり、全てを一つにまとめてから会社へと転送する。
これで仕事はフィニッシュだ。


さて、前置きが長くなった。鉛筆をもつ腕もだるい。
もうそろそろ今日は寝よう。


では、以下にいつもどうり雑誌の概要を掲載しておく。
(十六日目終了)


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