第三回天下一武道会 三月二十六日
[ 第三回天下一武道会 サイドA ]
- 297 名前:三月二十六日 1/5 :03/09/23 15:50 ID:???
- 突然だが、人間働いていて一番嬉しい時はなんだろう?
仕事が成功した時、終わって打ち上げの時、喜びを分かち合えた時、などなど色々思い浮かぶ。
大抵の人はこういったときが一番嬉しいだろう。
だが、私にとっては成功は当然であり、打ち上げなどは鬱陶しいだけのものであり、喜びを分かち合う仲間もいない。
そういったのは嬉しい時ではない。
さて、となると嬉しいのはどんな時か?
仕事を評価された時、そして、それが自己の利益となったときだろう。畢竟、それにつきる。
となると、それはなにか?ひとつしかない。
長々と書いたが、つまりそれは、「 給料 」 だろう。仕事の報酬だ。
結局、この資本主義経済にとって金は、神なのだ。どんな天才も金がなくてはいきていけない。
ベートーベンでさえ、金には困っていたし、ゲーテやヘミングウェイにしてもそうだろう。味気ないが、金こそ全てだ。
ここまで書けばわかるだろうが、つまり、今日は給料日だった。私と、他のこの寮の住人にとって。
朝早く。といっても九時くらいだが。
アルマーニのスーツに身を包んだ私は、右手に黒のトランクを持って、白棟をあとにした。雲がくっきりとでたイイ天気だった。
風もそよそよとして気持ちがよい。坂をくだる足も何処となく軽快だった。
途中パン屋の鉄仮面が、軒先に水を撒いているので、挨拶を交わした。
エプロン姿が哀しいまでに似合ってない。あの美しい娘にさせるべきだろう。あれではそろそろつぶれるんじゃないか?
スーパー「リガミリティア」はまだ閉まっていた。その後、十字路を曲がり、商店街をとおる。
「買えよ、国民」の玩具屋をとおり、大正浪漫の溢れる「喫茶マチルダ」を抜けて、美味いと評判の「レストラン木馬」のところで左に曲がる。
まがったらすぐ側にあるやけに派手なつくりの「坊や文房具」によって茶封筒を買う。
ついでにサインペンを一つと、領収書もかう。ここの店主はどうも気が弱い。ぼうやだからだ。
気障ったらしい髪型をしているやつだ。じっとみてると何を勘違いしたのか「やめろよ・・他の客がみている・・」などとぬかした。
何か誤解されたらしい。私は足早にその店を後にした。店をでて、線路を挟んだ向こう側に行く。
この辺りから商店街ではなく、オフィス系のビルが並んでいる。無論、小さな町だから数はそれほどない。
そこに私が目当ての郵便局があった。
クラシックが低く流れている店内にはいり、必要事項を書いた紙を受け付けの女性に提出して、しばし待つ。
やがて、番号が呼ばれる。私は立ちあがり、受付にいく。
気の強そうなショートカットの女性が、私の前にいくつかのダンボールの箱を置いた。後は、少しの書類だ。
私は、それらを確認してトランクに詰め込んだ。
そして、印鑑を押し、サインをすると、郵便局を後にした。ダンボールがあるので、帰りはタクシーを使った。
棟に帰ると、ちょうど皆の食事が終わったところだった。のんびりテレビを見ている。
私は、彼らを一堂に集めると、ゆっくりとみわたしてからいった。
「えー、蕭君、いままで、長い間ご苦労様でした。今後とも雑誌は続きますので頑張ってください。
さて、本日は給料日でありますので、呼ばれたものから来ていただきたい」
- 298 名前:三月二十六日 2/5 :03/09/23 15:54 ID:???
- みなそれを聞いて喜んだ。
「うほ・・!いい給料日・・!」 グエンが、手を擦りながら喜んだ。
「こりゃごっついの~!」 レビルも喜んでいる。最近は年金も不安だから余計嬉しさもひとしおだろう。
「給料・・それはエゴじゃない。」 アムロもボソっといった。
「まぁ、くれるんならもらってやる」 イザークは、オレンジを齧っていた。
「アメリアに仕送りできる!」 カクリコンは、デジャブ丸出しのカップラーメンを食べながら、感動していた。
「俺の分も残ってるよな!?」 スレンダーは不安そうだった。
「ハサウェイの教育費に・・」 ブライトは感慨深げに頷いていた。
私は彼らを手で制すると、「では、一人ずつ呼ばれたものからくるように」と告げた。
「ちなみに給料は全員一緒ではない。作品の人気、雑誌貢献度、会長の私情から、総合的に判断している。
後、昨今の不況ということもあり、ある程度現物支給なので、そのへんもくんでくれるように。社会をうらんでほしい」
なにせこの雑誌は一万部売れたとしても50万にしかならないのだ。
雑誌の収入がすくないうえに、その中から、この寮の維持費、電話代、光熱費、食費もさっぴいている。
だから、ほんとカツカツなのだ。赤字になってないのは、奇跡としかいえない。
ちなみに給料の基準は、今までの連載回数と、その総合順位によって総体的に判断した。
こういうことだ。
以下は、これまでの雑誌掲載順位
一号 二号 三号 四号 平均順位
アムロ 8 4 7 2 5.2位
レビル 3 5 3 4 3.8位
イザーク 5 1 休 1 2.3位
スレンダー 2 3 6 5 4位
カクリコン 8 6 2 3 4.8位
ブライト 無 8 5 6 6.3位
グエン 1 2 1 休 1.3位
給料はこの順位によって恣意的に振り分けられている。
- 299 名前:三月二十六日 3/5 :03/09/23 15:57 ID:???
- 私は名簿を開いて、一番上から読み上げる。
「えー・・・まずはアムロ・レイ君。」
「はい」
私は、彼に「アムロ用」と書かれた茶封筒を渡す。「今後とも幻想的な話しを頼むよ」と付け加える。
アムロは黙って封筒を受け取ったあと、「すごい・・(ネット広告で得られる収入の)五倍以上の厚さがある・・」と感動していた。おめでとう。
「さ、次は・・・・レビル閣下」
「うむ」
私は、将軍用とかかれた茶封筒を渡した。「暁!連邦塾!、ごく一部ですが期待されてますよ」と励ました。
レビルは受け取った後、「・・これで、年金をくずさんですむわい」と嬉しそうだった。
「後、レビル閣下にはヤフー○Bより、モデムが届いていました。作品中に使ってくれた御礼だということです」
私は、ダンボールの中から、其れを渡した。レビルは、ちょっと厭そうな顔をしていた。
「えー・・次はブライト。」
最初の二人をサインペンで消しながら、次の名を私は呼んだ。ブライトは勢いよく立ちあがると、私の前で仁王立ちになると怒鳴った。
「一体いくらはいってんの!」
・・・なにを興奮しているのかしらないが、ブライトは何故かぶちきれていた。青筋を立てている。
「い、いくらはいっているかは、中の明細をみるんだな。・・まぁ・・そんなに入ってない・・」
ブライトはひったくるように私から封筒を奪うと、うすっぺらなそれをひらひらさせた。
「(給料袋)薄いよ!なにやってんの!」と、叫んだ。そんなことをいわれても、順位が低いんだから仕方がない。
私は、ため息を尽いた。私は、なんでこいつらを相手にしなければいけないんだ?
「・・そうだ。ブライトには、荷物がもうひとつあるぞ。前回の作品をみて、読者の方がおくってくれたそうだ。」
といって私は、ダンボール箱ごと彼に渡した。かなり重い。
中身の欄には、三角木馬、とかかれていた。ブライトは頬を染めた。いいめぐり会いになったのかもしれない。やれやれ。
「さて・・・次は、カクリコン」
茶封筒を渡す。
「まぁ、妥当な額ですな。」彼は中身をちらりとみて、そう述べた。
「アメリアに何かかってあげるんだな。」
「まっこつそうするぜよ!」
・・なんで土佐弁なんだ。キャラが確立してないって辛そうだな。ガンバれよ。
- 300 名前:三月二十六日 4/5 :03/09/23 16:02 ID:???
「次は、イザーク。」
「さっさとよこせえ!!腰抜け!」
「はいはい・・」
なんでこの棟にはまともな奴が居ないんだ?そういうやつが残る世の中なのか?
これが弱肉強食なのか?私は無性にロランが恋しくなった。
「ほら・・・君は2位だったから、結構おおいぞ。無駄遣いしないようにな・・」
「するかぁ!この金でママンに何かかってあげるんだよ!オレはなぁ!」
「ママン・・?」
私が眉をひそめたのがわかったのか、自分の失言に気がついたのか、イザークは、真っ赤になって「今の無し!」とあせっていた。
ふむ。彼は、マザコンだったのか。まぁ、そんなかんじだ。
大体、虚勢を張る奴には、その傾向が高い。精神的に不安定というかなんというか。まぁ、どうでもいいが。
「さっきのは嘘だ!俺はそんなことしない!ちょ・・きいてるのか腰抜けぇ!」
私が、無視していると、彼はヒートアップしていった。スレンダーが後ろから取り押さえてくれたので大事には至らなかった。
まったくやかましいやつだ。
「助かったよ。さて、それでは次はスレンダー」
「お、おれ?・・・ふー、よかった。俺のこと覚えてくれててほっとしたぜ。」
「?忘れるわけないだろう。君も頑張っているじゃないか。ほら給料だ」
といって、私は小銭を渡した。スレンダーがずっこける。
「大丈夫か?」
「大丈夫・・・って、なんで俺だけ小銭なんだよ!封筒すらねえじゃねえか!」
「いや・・なんでかは私にもわからない。だが、給料はそれが全てだ。」
「なんなんだよ・・この扱いは・・」
スレンダーは泣いていた。私は同情した。
実は私には、何故彼だけ給料が小銭なのかわかっていた。これは会長の愛情なのだ。
あんな小額では、どこにも遊びにいけない。どこにもいけない。この寮でだらだらするしかない。
つまり、残るしかない、ということだ。うーむ、奥が深い。泣ける話しではないか?美談といってもいい。
まぁ、正直、金がもったいなかっただけかもしれないが。
「さて・・最後は・・グエンだな・・」
名簿に線をひきながら、私は確認した。これで最後だ。
「うほ!まちくたびれた!」
グエンが、ニコニコとしながら、こちらにきた。
「ほら。お疲れさま。」
私は、分厚い札束を、彼に渡した。それは他のみなの給料を足して、10倍にしたくらいの厚さだった。
「嬉しい厚さじゃないの!」グエンはそれをあまさずジャケットの内ポケットに入れた。
ポケットの中がパンパンになる。
- 301 名前:三月二十六日 5/5 :03/09/23 16:10 ID:???
「ちょっと!なんで彼だけそんなに多いのよ!」
ブライトがオネイ言葉でつめよってきて、めざとく文句をいった。早速木馬の効果がでたのだろうか?
「贔屓してんのか!」
「このヘンタイども!できてんのか!?」「管理人のうんこ!」「不平等!」「エゴ!」
途端に、彼らから罵詈雑言を浴びた。
私は、滅多なことでは怒らない。そんなことに体力を使いたくないからだ。
だが、今回は違った。ここは、今後のためにもきちんといっておかなければならなかった。
私は机を力任せに叩いた。そして、ブライトの頬を殴る。驚いたのか、途端に皆が静まり返る。
「黙れ!だまってきいてれば好き勝手いうんじゃない!
いいか!?勘違いしている蕭君らにいっておく!
ここは、学校じゃない!能力の高い者が、高い報酬を貰うのは当然のことだ!いいか、貴様らは平等じゃないんだ!
能力の無いものはどんどんきえていってもらう!其れが、社会の、この雑誌の掟だ!
文句があるならいつでもやめてもらってかまわないぞ!代わりはいくらでもいるんだからな!
わかったらつべこべ文句をいわず良い作品を書いてみせろ!」
私は、一息にそこまでいいきってしまうと、彼らをジロリ、と見渡した。
みな、黙っていた。床をじっとみつめていた。
いいすぎたかな、とも思ったが、最近緩みつつあった寮内の雰囲気を引き締めることになればいいだろう。
それに現実の編集者は、もっと酷いことをいうらしい。バカジャネーノ、とか、こんなの嫌いです。とか、
こんなキャラのオ○ンコ舐めたいと思いますか?!などなど。
少し今まで馴れ合いが過ぎた。
管理人など嫌われてなんぼだ。甘い顔ばかりしていては雑誌が衰退してしまう。
「さぁ・・わかったら作品にとりかかってもらおう。明後日には第六号だぞ」
しばしの静寂の後、私のその言葉が合図となって、皆、黙ってぞろぞろと食堂を出ていった。
私はそれを見送っていたが、ふといっておくことがあったことを思い出した。
「あぁ・・君はちょっと後で、私の部屋にきてほしい。少し話がある。」
そう声を掛ける。
イザークは、私の言葉に怪訝そうな顔をしたが、黙って頷いた。
(三月二十六日終了)
- 302 名前:通常の名無しさんの3倍 :03/09/23 18:44 ID:???
- 畢竟【ひっきょう ・・・キヤウ】
(「畢」も「竟」も終る意)つまるところ。つまり。所詮。結局。
しかし、打ちきたれた人には原稿料すら入っていないのか。
哀れな・・・
- 303 名前:通常の名無しさんの3倍 :03/09/23 20:01 ID:???
- キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
>>302
ウホッ!勉強になる。
3日後には忘れてるぜ(・∀・)
- 304 名前:通常の名無しさんの3倍 :03/09/25 13:20 ID:FivpN99S
- 500なので、ageます。
- 305 名前:通常の名無しさんの3倍 :03/09/25 15:50 ID:???
- この話は、週刊少年ガンダムがメイン?それとも、会長とかの謎がメインなの?どっち?
- 306 名前:通常の名無しさんの3倍 :03/09/25 19:11 ID:???
- 読んでくうちに嫌でもわかってくるから安心しなさい