第二回天下一武道会 エピローグ (2)
[ 第二回天下一武道会 ]
21 名前:1投稿日:03/03/10 20:53 ID:???
私は手紙を読む。
エピローグ中編 「 in the letter 」
前略。
手紙ありがとうございました。先週、突然送られてきたのでビックリしました。
ここに郵便物が届くことはほとんどないんです。なにせ違法居住民ですから。
それに送ってくる人もいません。ここに住んでいるのはそういった人ばかりなんです。
手紙が届くような外界の人との接触はほとんどありません。
けれど閉鎖的というのとはちょっと違います。なんというか・・ここはそういう場所なんです。
だから、僕自身、人に手紙を出すなんてしたことがないんです。
だから、少し読みづらい点があっても気にしないでください。
22 名前:1投稿日:03/03/10 20:55 ID:???
どうして僕が生きているかわかったんですか?
・・いえ、貴方なら少し人を使って調べればそんなことすぐわかりますよね。
つまらないこと聞いてすいません。
・・僕はあの艦から脱出した後、そのまま月に行って、そこから地球へと戻りました。
月に行くさなか、コクピットからでも地球がオーロラに包まれる様はわかりました。
きっと貴方が書いていたアムロさんの見せた思惟の波とはこれのことでしょう?
神秘的な光景に僕も息を呑みました。
まるでそれは、あの時の僕の目には地球から光が溢れ出しているように見えたんです。
それはまるで水を掬った後、手のひらから僅かに零れ落ちる滴のように、不思議だけれど自然な光景に見えました。
胸にストンと落ちる感覚です。
あぁ、そうだ。こういうことが起こっても不思議じゃないな、とすんなり思ってしまったんです。
僕達は、こういったことをおこせるんだ。そう思ったんです。おかしいですか?
それは純粋に可能性を示唆する現象だったと僕は思います。
だけど、同時にこれは、何かの代償を必要とする光景だとも思ったんです。
パンと子供を交換していた昔の貧しい人のように、この現象にたいし、人類は何かしら代価を支払うものだと。
そうじゃなければ、この現象はどこか地に付いていないものになってしまう、と。
神様に与えられた奇跡のように解釈してはいけないんです。
あくまで人がおこすことができた事象の一つとして考えないと、いけない。
僕は、そんなことを思いながら、オーロラが消えるまで眺めていました。
23 名前:1投稿日:03/03/10 21:00 ID:???
・・アムロさんが死んだ結果、起きた現象だったんですね。
そうじゃないかと思ったんです。推測が当たっちゃいました。けれど、厭です。
こんなことだけが当たるなんて。
あの人が最後に見せたあの笑顔は、僕の脳裏に鮮明に残っています。
あのときのあの人は、まるで何かの扉が開くのを待っている囚人のようにみえました。
扉が開くのは、死刑の合図かもしれません。それとも釈放の知らせかもしれません。
あの人は、静かに待っていました。それが開くのを待っていました。
そうじゃなきゃあの人の足に巻き付いている鉄の鎖は外れないんです。
その鎖を外した結果が死だったのか、あの少女だったのかはわかりませんけれど。
だけど、開かざるを得ない種類の扉なんだと僕は思います。
そしてその結果、死んだんだと。
僕はそう解釈しています。
24 名前:1投稿日:03/03/10 21:03 ID:???
・・シャアさんは大忙しですね。ほぼ毎日ニュースやネットで動向が載っています。
昨日は、テキサス・シティにいっていたみたいですね。
演説のおおまかな概要が、ラジオで流れていました。もっともあんまり聞いていないんですけど。
聞いちゃうと、今の僕は混乱してしまいそうなので。色んな感情を貴方に持ってしまう。
だからいまは、貴方の考えを聞くことはできません。
僕の方は帰ってきてからというもの、ハロっていう機械を組み立てなおしています。
元々、父が作ってくれたものだったのですが、最近調子が悪かったので、解体したんです。
部品を入れ替えたり、新しいチップをはめ込んだり、少しだけ改良してみたり、と毎日没頭しています。
もっとも単なる暇つぶしです。
冬の間は畑仕事はできないし、冬は家畜の世話にはそんなに時間もかかりませんから。
そして組み立てなおしている時、よくあの艦内での生活が克明に思い出されます。
あれも何かを組み立てているような、それでいて何かを壊しているような航海だったな、と思います。
僕の中で何かが壊れて、そしてその組織を一片も残さず使いながら再構築されたような。
そんな一ヶ月でした。特にギレンが動き出してからは。
シャアさんは知らないと思いますが、貴方がいなくなってからのあの艦内は、とても凄かったですよ?
けれど、それも書くと長くなるので、書きません。
それに僕自身、冷静にそれを振り返るにはまだ時間がいると思うので。
25 名前:1投稿日:03/03/10 21:07 ID:???
雨が 次第に激しくなってきました。
今、僕はラジオをつけて、部屋の中でこの手紙を書いています。カーテンは引いてません。
水滴が絶え間無く落ちているらしく、地面にぶつかっている(と表現できるほど)ようなもの凄い音がしています。
僕は、窓に顔を近づけます。けれど外は真っ暗で、何も見えません。
雨の激しい音と、微かなラジオの音の中で、僕は机に向かっています。
ラジオは世界の何処かで起きているニュースを淡々と読み上げているみたいです。
けれど、それは僕には遠い次元で起きている幻のように思えるんです。
例えば、今、ニュースではアフリカ地方に大型旅客機が墜落したと告げています。
アナウンサーの声は、とても悲しそうに、追悼の言葉を述べています。
だけど、僕にはその光景が想像できません。実像を伴って、頭の中には映し出されないんです。
今日は久しぶりに街に出たんです。
ハロの部品と生活雑貨のためにです。けれど、どっと疲れてしまいました。
ウーイッグって街は、あんまり好きじゃないんです。人がどこか陰鬱な印象をうけます。
少しうんざりした気持ちで買い物を終えた後、僕はすぐに帰らないで、少し寄り道をしました。
お墓です。
そこで、僕は・・
いえ、やっぱり止めておきます。
そんなことは別にどうでもいい事ですよね。すいません。支離滅裂な書き方で。
これ、読み返してみたら、きっと酷い文でしょうね。だけど、下書きとかはしません。
26 名前:1投稿日:03/03/10 21:14 ID:???
本題に入ります。
まず何かあの艦内で重要だと思うものを持っていたら、渡して欲しいとのことですが、一つあります。
フロッピーです。
アムロさんがくれた食べ物の袋の中に入っていたんです。
中を見てみました、どうやらサイコミュの克明なデータです。
僕はメカニックじゃないので詳しいことはわかりませんけれど。
何かの役に立つとは思えませんが同封しておきます。
もう一つの方・・きっとこれがこの手紙を僕にくださった理由なんでしょうけど、僕は断らざるを得ません。
何故かというと・・シャアさん。
告白すると、僕は混乱していたんです。
焦りにもにた感情が、僕をずっと惑わしていたんです。
自分の進むべきベクトルがわからなかったんです。
27 名前:1投稿日:03/03/10 21:17 ID:???
アムロさんは一体僕にどうしろといいたかったのかわかんなかったんです。
僕は、帰ってきてからずっと自分に反問していました。あの人の言葉を思い出してみました。
あの人は僕に、自分のようにはなるな、といいました。
その言葉は誓約のように、僕の心に刻み込まれています。心臓に刻み込まれています。
けれどそれはあまりに抽象的に過ぎるので、僕にはどうしていいかわからなかったんです。
アムロさんのようになるな、とは一体どういったことなのか、僕にはさっぱりわからなかった。
だけどその言葉だけが、僕の中を始終リフレインするんです。
狭いトンネルの中で音が反響するように、僕の脳内で、絶えずその言葉が響き渡るんです。
幸い、ここに帰ってきてから遠慮してるのか同居してる少女もも僕に詳しい説明を求めることはありませんでしたから、
深く考えることを放棄していました。
また、それを深く考えるには僕はあまりに疲れていました。
頭は艦を降りてからも断続的に痛んでいました。
28 名前:1投稿日:03/03/10 21:21 ID:???
結局、僕は中途半端なまま、機械をいじったりして時間を浪費していました。安逸な日々です。
何もしないのは手持ち無沙汰だし、何かをしようとするとあの言葉が頭から離れないんです。
その間、何度も艦内の生活を夢に見て、夜中にとびおきました。
そのたびに自分が酷く汗をかいているのに気がつくんです。
厭な汗です。
内部から滲み出るような、とてもべっとりとした汗です。
拭っても拭ってもまたいつのまにか出てくるような。そんな種類のものです。
僕はそんな自分に嫌気がさしていました。
なにかしようと僕の歯車が動き出すと、それはすぐに歪な不協和音を立てて止まるんです。
アムロさんが、僕に期待していたのはこんな僕ではないと思うからです。それが僕の歯車を止めるんです。
夜中に、厭な汗をかいて起きるような自分に一体何をすることができるのか、そう思うとうんざりしてきました。
僕はそんな無力感と焦燥感に駆られるたびに、二つの写真を眺めていました。
出発直前に皆で撮った写真と、僕が艦を離脱するときに撮った写真です。
(その写真のスキャンをフロッピーに入れておきます。)
ロランの笑顔、、憂いを帯びたフォウさん、それにトビアや、カツさん。
そういった今はいない人たちの顔を見ていると胸が張り裂けそうな程切なくなるんです。
不思議ですね。
あの時は、自分が生きていることを実感として感じなかったのですが、死んでしまった人たちの顔を見ると、
自分が生きていることを深く考えさせられてしまいます。この写真に映っているほとんどの人が今は屍体なんです。
けれど、彼らの生命の一部が、確かに僕の中に入っていると自覚できるんです。
それが余計僕を苦しめました。あの航海を無駄なものとするわけにはいかないんです。
頭が痛むたびに、僕はそれを自覚しました。
29 名前:1投稿日:03/03/10 21:28 ID:???
けれど、今日。(といってもこれを書いている時点では既に昨日ですが)
僕は、ようやく自分がするべき事に気がついたんです。
それはこういうことです。
僕はいつものように、夜中に目を覚ましました。この寒い季節でも背中にはやはり汗をかいていました。
着替える気にもなれず、かといってそのまま、寝ることもできなくて、僕は真っ暗な天井を眺めていました。
とても深い暗闇でした。完全な闇です。
その深遠は僕に宇宙を思い出させました。
あるいは宇宙よりもっと深い闇だったかもしれません。
宇宙と違い、そこには星がないのですから。そこに光はありません。
代わりに空気や、様々な感情が宙にぼんやりと漂っているのが見えます。
その空気の入り混じった闇をみてるいると永久に夜がつづくんじゃないかといった恐怖に襲われます。
滑稽に思えるでしょうが、僕はそのとき本気でそう思ったんです。
そして、それもふと悪くないな、と思ってしまっていたんです。
常に闇ならば、そこに恐怖はなくなり、諦念だけになりますから。
そのままどれくらい時間がたったんでしょうか。
それはわかりません。僕はずっとやわらかな枕に頭を沈めて、天井をみつめていました。
けれど、実際は僕は天井じゃなく、その向こうに在る空や、宇宙を見つめていたんです。
もしかしたら僕の意識はどこかにいっていたのかもしれません。
何故ならその時の記憶が僕にはないからです。
30 名前:1投稿日:03/03/10 21:36 ID:???
微かな鳥の鳴き声で僕の意識は、うっすらと現実的に覚醒しました。
いつのまにか部屋に微かな光が入り込んできてました。
もうそこには先ほどみた宇宙にも似た闇は存在していませんでした。
朝が近づいているようでした。光の登場です。
また今日も、無意味に時間をつぶさなければいけないと思うと僕はまた憂鬱になってきていました。
ベッドの上で僕は何度も寝返りを打ちました。
そのとき、微かに廊下が軋む音がしました。どうやら僕の隣の部屋の少女がおきたらしいんです。
僕は慌てて寝たふりをしました。不眠症らしいものに自分がかかっているなんて知られたくないからです。
廊下の軋む音は一旦通り過ぎましたが、またすぐに戻ってきました。そして僕の部屋の前で止まったんです。
僕はベッドの中で、じっと耳を澄ましていました。そして僕は狼狽したんです。
何故なら少女が、僕の部屋のドアを開けて、入ってきたからです。
僕は混乱しました。いつもならこんなことをこの少女はしません。だから僕も鍵をかけていませんでした。
今日に限って中に入ってきたんです。なんのために?
そのことに僕は疑問に思いつつも、内心、かなり焦りました。
なぜなら僕の机の上には書きかけのこの手紙がおいていたからです。引出しにはシャアさんの手紙も入っています。
31 名前:1投稿日:03/03/10 21:41 ID:???
僕としては、手紙を読まれるわけにはいきませんでした。
彼女にそういった事は秘密にしておきたかったんです。それは絶対です。
かといってここで突然起きて彼女を止めるのは無理があります。
だから、僕はただ彼女がすぐに戻ってくれることをベッドの中で祈りました。
けれど僕の心配とは余所に、彼女が僕の机を調べるということはありませんでした。彼女はそこに近寄りませんでした。
もっとも寝たふりをしている僕がそれを確認できるわけがありませんので、推測ですが。
彼女は僕のほうを見つめて、一度だけ、深く息を吐いたんです。
その肺から、出した暖かな吐息を僕は、ベッドの上でも感じられたんです。
その瞬間、僕に閃光が走りました。
細い稲妻が、僕の全身を駆け巡ったんです。
僕は、悟ったんです。
僕は彼女を守ることだけを考えればいいんだという事実に。
彼女のことだけを考え、今の生活を持続させることを考えるべきだということに。
32 名前:1投稿日:03/03/10 21:43 ID:???
それ以外の事象は単なる枝葉に過ぎないと気づいたんです。彼女を守ることが本質なんです。
極端な話、幹以外がネクローシス(壊死)しようが関係ないんです。
難しく考えることはなかったんです。
それが全ての苗床だったんです。僕はアムロさんが言った言葉の意味を難しく考えすぎてたんです。
少女を守れ、というのはそのとおりの意味として受け取るべきだったんです。
そのために政治的運動に参加するわけでも、政府をよりよくするために動くとかではなく、
純粋に日々の日常を大事にして、息吹を感じるのが僕に課せられたアムロさんの思いだったんです。
それは命を育む行為なのですから。
そして、それは本当はアムロさん自身がやりたかったことだと思うんです。
けれど、あの人はそれができなかった。だから、僕がそれをしなくちゃいけないとも思います。
だから・・貴方の誘いはお断りします。
僕はこの場所を離れるわけにはいきませんから。
33 名前:1投稿日:03/03/10 21:48 ID:???
かといって僕は貴方のやろうとしている事を否定しているわけではありません。
どちらが正しいとかの問題じゃないんです。
ただ、僕は貴方とは別のやり方で、アムロさんの思いを繋ぐだけです。
そして、シャアさん。そう言ったこととは別に、僕はあなたを恨みます。
貴方は艦の秘密を知っていて、それを利用しようとした人なのですから。
そのために艦内でどれだけの人が死んだと思っているんですか?
貴方には、罪があります。
それを覚えておいてください。
それが僕が貴方に言いたいことです。
さようなら。
PS.
もう、手紙を送らないでください。
シャクティがいる時に、届くと困るので。
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34 名前:1投稿日:03/03/10 21:50 ID:???
「これを本当に・・私に?」
私は手紙を読み終わると顔を挙げる。そして、目の前の女性を見る。
天井の必要以上に明るいライトが元々色素の薄い彼女をもっと白く見せている。
美しい金色の髪。大きな瞳、長い睫がそれに影を作る。
数年振りにみる彼女は以前と変わらず若く見える。
まるで一年戦争の時の彼女が蘇ってきているような感覚に陥る。
けれど、よく見ると、微かに口元の辺りに過ぎ去った歳月を読み取ることができる。
それが私をどこか安心させた。
35 名前:1投稿日:03/03/10 21:52 ID:???
「ええ。そうです。
貴女に渡してくれと。」
彼女の唇が開き、乾いた部屋に、透き渡った高めの声が響く。
その声は、この殺伐とした部屋に即座に吸い込まれていく・・といってもここは面会室なわけだから当然なのだが。
明らかに太りすぎと思われる看守が部屋の隅に立ったまま、こちらを胡散臭そうに見ている。
そのねっとりとした視線を背中に感じながら、私は言葉を発した。
「彼が・・?
どうして私にこの手紙を届けさせたのかしら・・」
わざわざ面会に来てまで、この手紙を渡す意図がわからなかった。
これは自分宛の手紙ではない。
「その手紙・・不自然だと思いません?」
「不自然・・どこかしら?
私の目には彼の決意が読み取れる文だと思うけれど。」
私はそこで軽く小首を傾げる。
もう一度、手元の手紙に視線を落とす。
丁寧な読み易い綺麗な文体で書かれている。
所々、不自然に乱れているところはあるけれど。
取り立てて文脈がおかしいと判断できるところはない。
36 名前:1投稿日:03/03/10 21:54 ID:???
「日付を見てください。
この手紙が投函されたのは、貴方が捕まった翌日です。」
そういって彼女は、机の上にある手紙の入れてあった封筒を指差す。
私はそれを拾い上げて、消印の日付をチェックしてみる。
確かに、それは自分が逮捕された翌日だった。もう今から一ヶ月前だけれど。
「・・確かにそうね。
けれど、それがどうしたというの?」
私は言葉の先を促す。
「途中でラジオを聞いていると書いている部分がありましたよね。
貴方が捕まったことは、トップニュースでラジオで延々と流れたはずです。
それを聞いていないわけがないと思いません?
なのに・・貴方が捕まったことについて一言も書かれていない・・」
「確かにそれはそうだけど・・。」
私はもう一度その部分をみる。
文字が不自然に乱れているのはこの辺りだ。
「兄が言うには、彼は敢えてその部分を書かなかったらしいんだそうです。
意図的な欠落がそこにはある、と。」
「それで?」
37 名前:1投稿日:03/03/10 21:58 ID:???
「それだけです。欠落の意味は私にも・・わかりません。
手紙を見せてそれを伝えれば、いいと兄さんにいわれたんです。
それでわかるはずだ、と。
また、補足ですけれど、このラジオの中で書いている大型旅客機の事故は存在しません。
まったくの嘘です。」
「そう・・そういうこと。」
成る程、と私は思う。
そこで私は肺の中に溜まっていた息をゆっくりと吐き出す。
前髪にかかっている伸びた髪を後ろにまわす。
そして、目の前の女性に礼を述べる。
「わざわざありがとう。」
「それと、これを。フロッピーの中に入っていたのを現像したものです」
バックから出した一枚の写真を彼女に手渡す。
「写真・・?
有難う。使わせてもらうわ。」
これは最初のページに貼り付けておこう、と、私は思った。
しかし、この手紙も写真もひとまずは看守に預けなければいけない。
写真のなかにいるアムロは、案の定、少年ではなかった。
38 名前:1投稿日:03/03/10 22:24 ID:???
「ねぇ、セイラ。
貴女はどう思ってるの。」
「何をです?」
「私たちの艦内での事。あの人から聞いて、ほとんど知っているんでしょ?」
彼女はほんの少しだけうなずく。
まるでそれで十分だといわんばかりに。
「はい。凡そは。」
「どう思った?
あ、勿論、これは単なる好奇心からの質問だから、答えたくなければ答えなくていいわ。」
「犠牲になった人たちには、勿論深い追悼の念を持っています
・・兄さんがやろうとしていることは正しいことだと思います。」
その回答は私が聞きたい質問の意図とは少し違った。微かなもどかしさを感じる。
だが、彼女が敢えてずらしているのだとすれば、それを聞くのは止めておくべきだとも思った。
39 名前:1投稿日:03/03/10 22:26 ID:???
「時間だ。」
そのとき、看守の野太い無感情な声が、した。
厭な男だ。
中世の断頭台のように、どこか断定的な暴力を感じさせる男だと私は思う。
もっともテロリストとして裁判中の自分を、特例とは言え、面会を許可するのは好ましく思っていないのは当然かもしれない。
「だそうよ。
わざわざ、すまなかったわね。セイラ。
けれど、貴方に久しぶりに会えて嬉しかったわ。変わりがなくて何よりだったわ。
シャア・・いや、キャスバル・ダイクン閣下にもよろしく伝えておいて。
そうだ、今、彼は何処にいるのかしら?地球にいるの?
残念ながら、ここじゃ外の動きはまったくわからないのよ」
粗末なパイプ椅子から立ち上がりながら、私は言った。
キィィィ、と椅子はまるで老婆の最後の悲鳴のような音を立てた。
40 名前:1投稿日:03/03/10 22:32 ID:???
「一週間前からダカールの方に。あの・・ミライさん・・」
その声には少し躊躇いが含まれていた。
私は、ドアの前で、立ち止まる。看守が舌打ちをする。
「ミライさん・・もしよければ、この手紙の意味をお教え頂けません?
何故この少年・・ウッソ・エヴィンは、貴方の事を手紙に書いていないんです?」
私はその問いには答えなかった。
別に隠す必要もないのだけれど。
41 名前:1投稿日:03/03/10 22:37 ID:???
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ここまでで、中編は終わりです。
エピローグなのに一章並に長いのは、重々反省してます。
最後の話は簡潔にするつもりです・・
42 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:03/03/10 23:01 ID:???
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1さんお疲れ様です
待ってて良かった
43 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:03/03/11 00:05 ID:???
- . キタ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
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┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ !!!
セイラさんに三度哀悼の意を。
44 名前:kanrinin投稿日:03/03/11 00:34 ID:???
- 立てて良かったということですね。
45 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:03/03/11 08:40 ID:???
- もうだめぽ
46 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:03/03/11 12:13 ID:???
- これが読みたかった
保守だ保守だ
なんとしても保守だ!
47 名前:kanrinin投稿日:03/03/11 21:27 ID:???
- 正直、前スレが落ちた時には、
「僕には竹ボウキを持って、ぴよぴよエプロン着る資格は無い!」
とか思ったものさ(w
48 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:03/03/12 00:21 ID:???
- ↑何が言いたいのかわからんが
保守
49 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:03/03/12 07:49 ID:???
- >>1乙
>>kanrinin
なぜお前が勝手に立てるのか、それが分からん。前スレもだ。
50 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:03/03/12 10:58 ID:???
- >>49
別に良いジャン
気づいた人が立てれば
kanrininが気づいたから立てた。それだけだろ
マターリ逝こうぜ
あ、漏れはkanrininじゃないぞ
51 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:03/03/12 12:11 ID:???
- sage
52 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:03/03/12 18:49 ID:???
- 無駄に自己主張激しい奴は死ぬほどうざいんだが
1の手前、抑えて来たが流石に限界
53 名前:ほげら~投稿日:03/03/12 23:19 ID:???
- まぁ、そんなに怒らなくとも、あと一話でKanrininともお別れ(?)だから
いいんじゃねぇ?
1さんがさらに書き続けるなら知らんが…。
それにオレは新しくスレたててくれたことにはkanrininに感謝してるよ。
いきなり落ちててびびったからな。